事業所名

合理的配慮事例・27102

業種

医療、福祉（除外率設定業種）

従業員数

19名

職種・従事作業

保育所、子育て支援センターの用務（清掃、食事の準備・片付け）

障害種別

高次脳機能障害

障害の内容・特性

高次脳機能障害：忘れやすく、記憶が残りにくい。

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

採用面接前後に、対象障害者を支援する障害者職業センターの職員から、対象障害者の特性や就労上の配慮点について説明を受けた。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

1. 対象障害者の属する職場において、保育所では副園長・主任、子育て支援センター（親子つどいの広場「なかまっち」）では館長・副館長が指導担当となる。
2. 対象障害者にとって、初めての環境における業務がほとんどであったことから、障害者職業センターよりジョブコーチを派遣してもらい、各職場の指導担当者はジョブコーチと振り返りを行いながら対象障害者への作業指導を行った。
3. 随時、各事業所の責任者（園長）へ指導方法の変更や配慮について報告・相談を行った。

仕事内容等をメモにする、一つずつ業務指示を行う、写真や図を多用して作業手順を示す等の対応を行うこと

作業前と作業後に視覚的な情報を効果的に提供しながら指導を行った。具体的な取組は以下のとおりである。

• 一日の時間ごとの作業場所・作業内容を示すデイリープログラムを作成し、対象障害者にどのような作業が必要になるかを一緒に確認できるよう準備した。
• 作業箇所には写真付の手順や手引きを作成した（画像参照）。
• 作業終了後の確認ではカラー付箋を使用し、取りこぼしのあった清掃箇所へのマーキングを行う。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

1. 対象障害者の属する職場においては2ヶ所それぞれに勤務時間が異なることにはなるが、各事業所分を合わせた勤務表を渡し、1枚の勤務表上で出退勤時間が確認できるようにした。
2. 基本的に2事業所合わせ、1日4時間（実労働時間）の週5日という勤務で行い、体調管理等に無理がないかを確認しながら勤務してもらう。
3. 有給休暇を計画的に取得できるよう事業所内の業務調整を行い、対象障害者にも取得方法について助言することで、本人が就労とプライベートの時間のバランスを取りやすいよう配慮した。

本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること

• 作業の内容、スケジュールを視覚情報として提供することで、作業をスムーズに進められるよう工夫した。
  • （ア） 事業所側から何をどの時間帯で進めてもらいたいかを整理した。
  • （イ） ジョブコーチの支援を受け、その内容を細分化し作業手順も追加したうえでチェック欄を設け、さらに対象障害者が振り返ることができるよう用紙を準備した。
  • （ウ） 作業手順については、実際にジョブコーチと確認しながら作業場所の写真と作業手順を追加した手引きを作成し、ポケットに入る大きさの縮小版を作り、作業に慣れるまで対象障害者が見返しながら作業ができるようにした。
• 以上の効果としては、対象障害者の不安を一つずつ解消し、高次脳機能障害の特性を周囲にもフォローしてもらいながら作業を進められ、自信をもって業務に取り組むようになった。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

1. 就労開始前の打合せにおいて、一緒に用務の作業を行う高齢者の方へ対象障害者の保護者の了解を得て、障害の特性や配慮について説明を行い、さらにジョブコーチ派遣時にはジョブコーチからも説明や補足をしてもらい、理解を得た上で作業を進められるよう準備した。
2. 保育所では、事前に園児の保護者への確認の上、会議等にて職員へ対象障害者の特性や配慮点についてを説明し、保育所内において各作業場所での作業中で気になることがあれば、フォローをしたり、声をかけてほしいことを伝えた。

その他の配慮

対象障害者は子供が好きで保育所での就労に期待しながらも、以前の業務（温泉施設）との業務の違いから戸惑いや不安があった。それを解消するための援助として、障害者職業センターのジョブコーチに支援に入ってもらい、そのジョブコーチからの提案を受け、適切で丁寧な働きかけを行うことで、対象障害者の不安も徐々に軽減された。
また、定期的に職員会議を行い職員間での援助方法の確認や見直しができたことで、共に働く職員同士も戸惑い無く、安心して援助を働きかけてゆくことができた。

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等