募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

対象障害者は就労移行支援事業所に通いながら一般就労を目指していたことから、面接時にも本人及び会社側の要望もあり、ハローワーク職員と支援事業所職員が同席し、仕事内容の説明や障害に対する留意点等の説明を受けた。

その他の配慮

正式採用の前にトライアル雇用を活用し、この間、店側と対象障害者の仲立ちとして支援事業所の職員が定期的に訪問指導を行った。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

店長が居る時は店長を、また、店長が不在の時は店長に次ぐ社員を指導担当者と定め、業務指導や相談助言を行う体制としている。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

対象障害者の定例業務の内容と流れは次のとおりである。朝礼→（ア）店頭ののぼり設置→（イ）駐車場の清掃→（ウ）前日行われたトイレの清掃確認→（エ）当日入荷分の商品の補充→1時間休憩→（オ）売れた分の商品の補充→（カ）前陳（後ろの商品を前に陳列する）。その他非定例的には、レジでの商品袋詰めの補助や売り場の案内、商品説明、賞味期限チェックなどがある。
入社当初は、先輩社員が口頭と実務指導で仕事を教え、特段指示書や作業マニュアルは作成していないが、今では指示を出されなくても一人で一連の業務を行っている。
店長の感覚的な表現であるが、入社当初は障害のない従業員の3倍くらいの作業時間がかかっていたが、入社から約11ヶ月経った現在ではかなり改善しているという。
また、作業時間や作業量の目標値については、本人の作業スピードを勘案し、定量的目標ではなく、口頭により「昨日より早くできるように取り組んでみよう。」などといった定性的な目標に留めている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

毎週月曜日と木曜日が休日、1日6時間（8:30～15:30、11:30～12:30休憩）、週5日（週30時間）勤務で、休日を利用して通院による服薬管理をしている。
体調が良くない時は、遠慮なく申し出るよう話しているが、入社以来一度も申し出はない。
仕事中に体調を崩すこともなく、週30時間勤務を入社以来継続している。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

従業員の休憩室は障害の有無に関わらず同一の場所となっている。店内には常時4～5人の従業員が勤務しているが、対象障害者が休憩する11:30～12:30はシフトの関係でほぼ一人での休憩となることが多い。なお、対象障害者は他の従業員と普通に談笑しており、取り立てて静かな場所で休憩できるよう配慮する必要性は低いと思われる。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

作業時間や作業量に対する定量的目標設定はせずに、本人の無理のないペースで作業できるよう配慮している。また、対象障害者が女性であることから、過大な重量物を取り扱うことのないよう配慮している。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

従業員同士がお互いの力量を分かった上で協力しながら業務を進める必要があることから、精神的な病を抱えているが定期的な通院・服薬により、就労に問題のない人であることを、本人の同意を得た上で、他の従業員には説明している。

その他の配慮

正式採用後に支援事業所の手を離れた後でも、対象障害者に対してどのように対応したら良いか苦慮した時に、店側から支援事業所の職員に電話でアドバイスをいただき、問題を解決したことが度々あり、今日まで雇用を継続している。