事業所名

合理的配慮事例・27219

業種

サービス業（特例子会社）

従業員数

6名

職種・従事作業

清掃作業

障害種別

知的障害

障害の内容・特性

自閉症　こだわりが強い。支援学校卒業後2年間程就労支援B型事業所で働く。一般企業での就労は初めてである。

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

面接時に障害者職業センター職員と障害者就業・生活支援センター職員に同席してもらった。障害特性や家庭での状況、支援学校卒業後の就労継続支援B型事業所での就労状況についての説明を受けた。

その他の配慮

本来であれば、新卒者の採用を優先している。しかし、対象障害者が卒業した特別支援学校からの紹介を受け、対象障害者本人との面接に至った。対象障害者本人は、卒業後に一般就労を強く希望していた。しかし、実習から就職へと結びつかなかった。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

障害者施設での職務経験者を外部から担当指導員として採用した。担当者は対象障害者の指導専属とし、業務指導から相談までの全てを担当している。常時、対象障害者と時間を共にすることで、対象障害者の様子・変化を観察でき、異変に気付いた際にはその都度対処したり、話し合いを設けたりコミュニケーションを取れる環境を整えた。言動、行動、表情を注意深く観察する点に力を入れた。

本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと

ルーチンな作業に関しては指導を繰り返すことにより習得できたが、工場内の資源物回収の業務においては臨機応変な判断が求められる為、作業の自立まで7～8ケ月の時間を要した。本人の作業を近くで見守り、その時々での対応方法や動き方を繰り返し指導した。多様なケースを本人が身を持って体験することで、判断力と応用力が身に付き、指導員がいない状態でも作業の自立が可能になった。

図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと

作業を習得してもらう方法として、まず指導員自身が作業の初めから終わりまでの一連の流れを実践することで理解する。その後、作業手順と方法を対象障害者にとって、より単純で理解しやすい形に確定する。それから指導員が実際にやってみせ、対象障害者にもやってもらいながら指導を行った。作業手順と方法を習得するまでは、作業を見守りながら指導を継続し、一連の流れを習得できた段階で、作成した手順表を見ながら指導なしでの作業へと移行させた。その後は常時その手順表を確認しながら作業を進めている。清掃場所によっては、作業後に対象障害者自身がチェック表を活用しており、この表に記入することで、対象障害者自身が作業の欠落を自覚することができ、同時に作業に対する責任感を育成することができた。その他には、社内メールの集配業務において社員名簿や社内の部署一覧などを記載したガイドを作成し、それを集配の際には持ち歩き、仕分けや配達時に確認しながら作業ができるようにした。

トイレ作業手順表

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

身体的には特に問題なく勤務が可能な為、特別な配慮は必要としなかった。しかし、健康診断の結果に伴うその後の健康管理を意識してもらう為、万歩計の携帯及び毎日の体重計測と食事記録表の記入を実施した。家庭の協力もあり、少しずつではあるが改善に向かっており、対象障害者本人にとっても健康管理への意識付けとなった。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

入社後直ぐに親会社社員を対象として、対象障害者の具体的なこだわりの内容、行動パターン、コミュニケーションの方法、対応方法、得意なこと等を説明する場を設けた。対象障害者にとって複数の人からの情報が入ることはパニックの原因となることが考えられた為、業務指導は基本的に指導員が実施すること、しかし環境に慣れてもらうため本人へのコミュニケーションは積極的に協力頂きたい旨の周知徹底を図った。

その他の配慮

【職場のマナーやルールについての説明に関して】：入社時は集団生活におけるマナーが全く身についていない状態であった。習得してもらう為、イラストで集団生活のルールを掲示し、対象障害者が常時見られるよう事務所に貼り付けた。ルールが守れていない際には口頭での指導に加えて、イラストを見るよう指導を続けた。それによりそのイラストを見ることと、その約束を守ること自体が対象障害者自身のこだわりのひとつとなり、その結果ルールを守れるようになった。時間の経過と共に、そのイラストが対象障害者と指導員間のコミュニケーション手段の一つのツールにもなり信頼関係を築くことにつながった。自閉症の特徴であるこだわりに関しては、作業中は回数や時間を制限し、休憩中は束縛せずに安全面を考慮した上で自由に行動してもらった。こだわりに関しては全否定せずに受け入れたことで、対象障害者の精神面の安定につながった。

会社のルール　イラスト提示

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等