事業所名

合理的配慮事例・27231

業種

小売業

従業員数

1,459名

職種・従事作業

売場巡回、パソコン入力、印刷、軽作業等

障害種別

精神障害者

障害の内容・特性

• 事象の記憶が時系列でなく、出来事のインパクトの大きさで記憶される。
• 会話の際の受信と発信の方法が独特でコミュニケーション場面での課題が生じやすい。

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

当社の方針として就労支援機関の職員等の同席は任意で認めているが、本人の意見を求める際には、口を挟ませないようにしている。また、本人の自立性を把握するために会話の内容の他に所作も観察している（例：筆記用具を自身で筆箱から取り出しているか等）。

その他の配慮

同席した就労支援機関の職員の意見が客観的なものかどうか留意している。採用担当者の経験をもとに客観性が認められるか判断し、認められるものは参考にしている。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

身体障害者のベテラン社員が、入社後3ヵ月はサポーターとして本人の指導や手助けを行っている。

本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと

業務量を少しずつ増やすことで本人のモチベーションが上がることが多いので、様子を見ながら増やしている。ただし、無理が生じた場合にはその都度調整を行っている。

図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと

障害者用のマニュアルを職場で作ることはせず、障害者自身が教わった内容をもとに自分用のマニュアルを作っている。いわば、自分用の「脳内整理用ノート」であり、自身が分かればそれこそマニュアルだと位置づけている。そのため、マニュアルはその人のセンスが反映され、個人ごとに異なったものとなるが承認している。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

本人が突発的に休みを取ることはなく、ほぼ皆勤であるが、申し出があれば対応している。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

採用面接時には、障害者本人に自身の障害を説明いただくとともに「ご自身の障害者手帳を見たことがありますか」と必ず尋ねている。本人が自分のことを受け入れて肯定できているかどうかを見るとともに、この職場は障害があることをポジティブに捉えている所であるということを最初に認識してもらっている。
その上で入社初日には、自分のこれまでのヒストリーを発表してもらい、皆の輪の中に入ってもらっている。なお、これらは決して強要しない。

その他の配慮

自身の症状や習癖を自ら発信し、周囲に理解を求め、自らの職場環境をより過ごし易いものにして労働成果を高めることこそ大切であるとしており、その結果、企業が本人に支払う賃金以上の成果が認められれば、本人は立派な戦力となり自らのポジションを築けるという考えのもと、初対面の時点で、一歩踏み込んで接している。本人はもとより、親御さんや支援者に対しては「本人の障害を考慮し、今のままのペースを保つか、それとも少しでも高いレベルを目指していくか」と聞き、後者を選ぶのであれば「本人には時に厳しくも接するので、支援いただける方々の協力もお願いしたい」とはっきりお伝えしている。

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等

今の職場に就職するまで、2社ほど続けて1年未満で退職していました。前の2社では周囲から「一般常識がない」と注意されつつもどうしていいかわからなかったことを、今の職場では教えていただけることが嬉しいです。他者に発信するという概念が薄かった私は、例えば、作業の途中経過を報告することや、予定と違う事態になったら報告・相談をすることをきちんと理解していませんでした。これら「一般常識」といわれるものは、成人後はあまり説明してもらえませんでしたが、今の職場ではその都度アドバイスがもらえ、習得することができました。また、私は時系列の把握が苦手であり、数字も読み間違える傾向にあります。これらが原因のミスも、注意とともにどう工夫して起きないようにするかを考えることを主眼に置いてもらえたので、精神的に楽になり、自分を責め続けるのではなく前向きに働く姿勢を保てるようになりました。

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