募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

父親と障害者職業センター（以下「職業センター」という）の障害者職業カウンセラー同席にて面談を行った。

面接・採用試験について、文字によるやりとりや試験時間の延長等を行うこと

面接のみではご本人の理解度や可能な職務が分からなかったので、職業センターの実習制度を利用して、2週間の実習（現在従事している仕事内容）を経て、本人意思確認の上3ヶ月間の雇用契約に至る。
雇用契約は父親同席にて締結した。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

父親は不安なことや心配事があると事業所に連絡、事業所も父親に情報提供を求める等、対象障害者の行動や心境の確認等をしている。また、グループホームのサービスを利用して、食事面あるいは父親不在の折は宿泊等の支援を受けており、家族、事業所、職業センター、障害者就業・生活支援センター及びグループホームとの連携の中で見守りながらサポートしている。
入社当初の3ヶ月間で、職業センターのジョブコーチが頻繁に事業所を訪問することにより、対象障害者の仕事の習得のみならず、受け入れ側のスタッフの不安や疑問の軽減ができ、入居者への対応不安なども解消することとなった。

業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

対人関係において、入居者に対しての対応が心配されたが、対象障害者の長所として、誰にでも自分から挨拶ができるという点があり、少々ラフな挨拶ではあるものの、愛嬌があり入居者に好感をもたれている。施設長やスタッフは、良いところは引き出しつつも、できないことは何か、困っていることは何かを対象障害者と相談し、それを障害者職業カウンセラー等支援者に伝え、助言や支援を仰ぐ、というスタンスで見守っている。
また、施設長やスタッフは、一つのことができたら次に進める、決められたことを決めたとおりにやることができたら次に進めるというスタンスで粘り強く見守る姿勢で対応している。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

対象障害者はまじめで、休むことなく出勤をしてくるので、台風の時などは事業所から「今日は出勤しないように」と連絡をとるように配慮をしている。
障害の特徴として、何かで注意が削がれると急にそこで動き等全てがストップしてしまうことがあるが（例えば、対象障害者はある芸能人のファンであり、新聞記事等でその芸能人を見つけると仕事が止まり、見入ってしまうなど）、ちょっと声を掛けるだけで我に返る。
また、本来、この時間帯はこの場所にて清掃作業を行っているはずなのに、実はトイレの中、あるいは屋上に自分の居場所を見つけてこもる、などの行動が起きるが、スタッフはその様な対象障害者の特性を十分理解承知した上で、怒るのではなく一言声をかける、あるいは顔を見せることで、本人に「察知させる」ことを心がけている。

その他の配慮

当初、スタッフの間でも、対象障害者がどこまでできるのか、どれだけの要求をして良いのか等の不安があったが、職業センターの障害者職業カウンセラーやジョブコーチにその都度アドバイスを受け、一つずつ解消していった。現在も対象障害者へ新しい仕事を依頼する時等は、ジョブコーチからのレクチャーを受けてから進めている。