募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

〔Aさん〕　当事業所がはじめての障害者雇用を検討し障害者職業センターの支援を受ける中、同センターの職業準備支援を利用しているAさんの紹介を受ける。まず職場見学、そして職場実習を行い、その後採用面接を行った。事業所から社長と戦略教育室担当及び商品管理課担当が入り、障害者職業センターのカウンセラー及び障害者就業・生活支援センターの支援員が同席した。
〔Bさん〕　Aさんと同様障害者職業センターの職業準備支援を利用していたが、職業センターのカウンセラーから当事業所の職場見学を勧められ、その後職場実習を行い、本人希望による面接となった。面接は事業所の社長及び戦略教育室担当が対応し、同センターのカウンセラー及びジョブコーチの同席の下、行われた。

その他の配慮

前述のとおり、2名とも当事業所において面接前に職場見学や職場実習を行った。事業所にとってそれぞれの障害特性や職務適性などを理解した上で業務配置や指導方針を適切に判断することができた。
〔職務適性〕
Aさん・・・・事務業務より体を動かす業務が得意
Bさん・・・・データ入力等パソコン操作が得意

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

業務面での指導は職場責任者が行い、業務面以外のサポートは戦略教育室担当が行う双方連携を図っている。
障害者雇用が初めてである当事業所にとって、障害者の障害特性をより理解するため、職場責任者や戦略教育室担当者が、障害者職業センターに出向きカウンセラーやジョブコーチなどに障害特性の説明を聞いたり、同センターで行っている職業準備支援などを見学し、業務を進めていく中で疑問に思った事の解消につなげた。

業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

〔Aさん　商品管理課〕
業務は商品入荷・在庫管理・受注ピッキング・梱包・出荷等一連の流れを担当している。苦手な作業でパニックになると一旦その作業をはずし別の作業を行ってもらい、落ち着いた時点で元の作業に戻すなど、職場責任者が状況に応じた配慮を行っている。
〔Bさん　メディア営業課〕
パソコン入力業務を行っている。パソコン操作については操作手順のマニュアルなどは作成していないが、問題が起きた場合は都度必要に応じて職場責任者が直接指導を行うことで業務を進めている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

〔Aさん　商品管理課〕
職場実習中はフルタイムではなく6時間程度の実習とし、本人には業務内容等の確認をしてもらい、また職場責任者も障害特性や指導方法について確認した。入社後については特に問題もなくフルタイムでの勤務ができている。
〔Bさん　メディア営業課〕
トライアル雇用期間（3ヶ月）は6時間程度の勤務とし、現在はフルタイム勤務となっている。
〔Aさん及びBさん〕
社内全般における相談事については戦略室担当者が連絡ノートを用いて部門責任者に相談、必要に応じて戦略教育室やその他部門長が相談することになっている。当初は業務や職場の人間関係また健康面など相談事が多々あったが、今では連絡ノートを用いることは少なくなった。

感覚過敏を緩和するため、サングラスの着用や耳栓の使用を認める等の対応を行うこと

〔Bさん　メディア営業課〕
入社当初は周辺の人の動きや物音に過敏に反応することが見受けられ、職場内の席を入口から離し、壁を背にした場所に設けた。

その他の配慮

当事業所の障害者雇用に対する考えは、障害のない社員と分け隔てなく接し、特別扱いはできるだけ行わないというものである。しかし障害特性による課題や問題点については配慮し、業務の進め方などに工夫が必要と考える。
そのような考えの下、障害者2名には朝礼時に行う「輪読会」に参加してもらい、会社の考え方などを他の社員と共有することや自身のコミュニケーション能力の向上を目指している。
【輪読会とは】全社員に会社の考え方等の共有を図ることを目的として行っているものである。具体的には毎朝ランダムに決められた3～4名のグループに分かれ、会社の基本方針や考え方、教育方針等をまとめた経営計画書を輪読する。輪読箇所は毎日異なり、読み上げた内容に対する自分の意見を発言する。その際会社の考え方やお互い発表しあった内容について否定せず、会社の考え方をどう受け止め、また自分はどのような行動を行うかを発表する。こうすることで会社の考え方を社内全体で共有し、意思統一を図る。また普段の業務ではあまり関わらない社員との意見を交わすきっかけになっている。