事業所名

合理的配慮事例28009

業種

サービス業

従業員数

300人

職種・従事作業

工場見学の補助業務（見学者引率、飲食コーナーでのサービス（パンドリー）、ショップ販売グッズの分別・配送）

障害種別

難病（網膜色素変性症）

障害の内容・特性

視野狭窄、視力低下、夜盲。対象障害者は視野狭窄の中でも中心部が見えず、周辺部だけが見える。

募集・採用時の合理的配慮

面接時間について、体調に配慮すること

視覚に障害があるため、筆記試験を行う際に、A4の問題用紙をA3に拡大した。また、「わからないことがあったら聞いてください」と伝えた上で、対象障害者が持参した拡大ルーペを使用し、ゆっくりと解いてもらった（延長時間は5分から10分程度。）。面接会場は入り口から近い1階の部屋を使用した。受付から面接会場までは採用担当者が案内し、「段差等で気になることはありませんか」などの声掛けを行った。

その他の配慮

障害者枠での求人は、「経験や面接時のお話によって業務内容は考慮します」ということで募集をかけていた。対象障害者から応募があり、面接の前にこの難病について一通り調べた。また、面接時に工場見学のルートを採用担当者と回り、段差や通路に配置された物の確認を行い、自らの働く場所について理解を深めてもらった。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

現在、障害者はいろいろなセクションの業務に関わっており、各セクションの社員が声掛けを行い、いつでも話を聞ける環境を整えている。相談は、メールなどではなく直接言ってもらうことが多い。各セクションの社員に障害者から持ちかけられた相談内容はマネージャーが取りまとめ、支店長と相談。面談を適宜行い、困ったことがないかなどを聞くようにしている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

網膜色素変性症の症状に夜盲があるため、会社側が暗い時間帯の帰宅を心配し、対象障害者に配慮を申し出たが「特に問題ない」とのことであり、退勤時刻の調整は行っていない。通院・体調面での配慮に関してはシフト制を利用し、対象障害者自身が調整を行っているが、会社側からも常に配慮の必要性を確認している。

本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること

当初予定していた工場見学の案内同行の業務は、障害の関係で全てを行うことが難しいことがわかった。
また、どの業務ができ、どの業務ができないのかの把握もままならなかったため、社内業務の洗い出しを行った。各セクションからやってもらいたい業務を上げてもらい、会社側が「できる」「できない」を判断するのではなく、障害者自身に判断してもらい、遂行可能な業務を組み合わせて仕事をしている。現在も洗い出し作業は継続しており、様々な業務に挑戦してもらいながらマッチングを行い、対象障害者の一日のタイムスケジュールを作成し、これに沿って業務を行っている（表1～4参照）。洗い出しする中で、朝に行う業務が出てきたため、それまで9時からだった始業時間を8時半にすることを会社側が提案し、対象障害者も同意して勤務時間を延ばすこととなった。様々な業務の提案がある中で、対象障害者は自ら「できる」「できない」をはっきり意思表示しており、このことからも会社に対して意見を言いやすい雰囲気であることがうかがえる。
また、パソコンが必要となる事務作業では、本人と相談の上機構からの拡大読書器の貸出しも視野に入れている。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

対象障害者に限らず、障害者を雇う際は、支店長などから社員に説明を行った上で、その障害や難病の特性を事前に調べて資料にまとめたものを、障害者が所属する現場に配り、周囲がフォローできることや事前に準備しておくことがないか障害者に聞けるようにしている。
対象障害者の視覚障害についても前もって他の社員に伝えてはいたが、日常過ごす分には障害者とは思えないほど危なげなく行動するため、周りの社員には対象障害者が自分たちと同じように見えているのではないかという誤解が生じてしまった。例えば、社員ができると思って頼んだテーブル拭きの業務で対象障害者が拭いたところに汚れが残っているといったことがあり、対象障害者の実際の障害程度と周りの社員が考える障害程度の認識のずれにより行き違いが生じてしまった。そこで、障害者職業センターに相談したところ、「弱視とはどういうものなのかを理解するための社員の勉強会を行ってはどうか」との提案を受け、視覚障害に詳しい専門家を講師に招き、勉強会を行った。事前に対象障害者の見え方をヒアリングし、勉強会で伝えたことで、初めて社員が「対象障害者はこういう見え方をしている」ということを理解することができた。

その他の配慮

対象障害者は多くの業務を行い、作業場所も様々であるため、初めて入る場所は、事前に物の位置や段差などについて問題ないか聞き取りを行っている。
また、対象障害者が清掃の業務を行うにあたり、「どの道具を使い、どこを清掃する」といったことが大きな字で書かれたチェックリストを作成中である。

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等