募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

面接では担当者に同席してもらい、障害特性や必要な配慮などに関する情報提供を受けた。

その他の配慮

職場実習、トライアル雇用を経て、相互に職場環境や職業適性を確認した上で正式に採用した。

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

業務指導や相談は店長が担当。なお、障害特性の理解を深めるため、障害者職業生活相談員資格認定講習を受講。相談担当（女性のプレイングマネージャー）を決め、対象者を理解している社員が常に身近にいることによる安心感のもと、コミュニケーションが取りやすい雰囲気づくりを行った。

採用後の合理的配慮

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

同社には大きく分けて「接客」と「キッチンでの調理作業」の仕事があるが、接客は対象者の障害特性を考慮すると難しいと判断し、キッチンでの調理作業をメインに担当させている。

毎日・毎時間、お客様の来店者数などに応じて指示が異なり対象者にとって混乱が生じやすい仕事であるため、当初は、ジョブコーチによる支援を行った。

当初の業務は、ハンバーガーの肉を焼く作業からスタートした。
現在、キッチンでの作業は全て行うことができるようになった。また、当初は、指示なしでの作業は難しかったが、今では対象者自身が可能な作業を提案し、実践できるようになった。

新しい商品が発売されるときは、新たなキッチン作業が増えるため不安感が生じやすいが、仕事を覚えてできるようになれば、新たな自信になる。また、新しい仕事に対する不安とできたときの自信との繰り返しが対象者の成長に繋がっている。

職場に慣れ仕事を覚えるための方法として、「30DAYSチェックリスト」を使用。30日間に実施したことや学んだこと、また、相談したいこと、そして次の30日間の目標等を記入してもらい、店長と対象者とのコミュニケーションツールとして、現在も活用している。

業務1

業務2

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

入社時は11時～15時の1日4時間、週3日（月・水・金曜日）勤務とし、仕事に慣れることからスタートした。
その後、10時～19時までの月間130時間勤務ができるようになることを目標に、徐々に勤務時間を延ばし現在は、10時～17時の1日6時間勤務となっている。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

スタッフ全員が交代で休憩しているので、通常は、対象者が一人で休憩することができている。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

店舗経営上、土日祝日が繁忙日となり、多くのアルバイトが勤務するため、精神的負担等を配慮して平日のみの勤務としている。ただし、土日祝日にイベントが開催されるときは、スタッフとして入ることも対象者と相談の上、行っている。こうした店舗チームの一員として貢献しているとの意識を持ってもらうことが、働く意欲に繋がっている。

来店客が多い時間帯等において、キッチン内で複数のポジションを同時に対応しなければならない状況があった場合には、過剰なストレスを回避するため、本人が得意とするポジション（フライヤーを使う作業）に配置し、一つの業務に集中して作業が行えるように配慮している。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

障害者雇用は、店長のみが理解しているだけでは成功しないとの考えにより、店舗に勤務する全てのスタッフに対して、ジョブコーチからアドバイスを受けた対象者に対する配慮事項や注意点について細かく説明を行い、同僚として、サポートするチームワークを醸成している。

その他の配慮

体調不良の時は早めに休憩が取れるように、気軽に相談しやすい職場づくりを行っている。特に、店長が常に目を配り、体調悪化の兆しを事前に把握して休憩を取らせる等、コミュニケーションを大事にしている。
目標を明確にして仕事を覚えてもらっているが、ときとしてできないことが出てくる。その場合は、できないことは他のスタッフにも同じようにあることを説明し、特別なことではないことを伝え、ストレスや過剰なプレッシャーを掛けないように配慮している。
時には、長時間の仕事がしんどいとか、体調不良を訴えることもある。このような場合には、気軽に相談できる環境づくりに配慮している。