障害者雇用に理解を深め状況に応じたシフトで継続勤務
- 事業所名
- 医療法人社団豊仁会(法人番号 5420005002746)
- 所在地
- 青森県八戸市
- 事業内容
- 医療業・社会福祉業
- 従業員数
- 269名
- うち障害者数
- 2名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 マッサージ師 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病 1 介護サービス員 その他の障害 - ■本事例の対象となる障害
- 難病(クローン病)
- 目次
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1.事業所の概要、難病患者雇用の経緯
(1)事業所の沿革・概要
昭和56(1981)年 11月 石堂病院として病床数102床にて開院 昭和57(1982)年 6月 医療法人承認 昭和59(1984)年 4月 病床数112床に増床承認 平成元(1989)年 10月 病院併設型老人保健施設「サンライフ豊寿苑」開設 平成 4(1992)年 9月 「わんぱく保育園」開設、職員寮完備 平成 8(1992)年 1月 「在宅介護支援センター」「コスモス訪問看護ステーション」開設 平成 10(1998)年 4月 八戸城北病院に名称変更 平成 11(1999)年 2月 3病棟52床、療養型病床Ⅱ郡許可 平成 12(2000)年 10月 3病棟13床介護療養型、33床医療適応型に変更許可 平成 12(2000)年 10月 「城北ヘルパーステーション」開設 平成 13(2001)年 7月 高齢者支援住宅「やゑの里」開設 平成 14(2002)年 1月 グループホーム「ぬくもり」開設 平成 19(2007)年 5月 有料老人ホーム「すこやかホームゆうゆう」開設 平成 26(2014)年 4月 ディサービス「ささえ愛」開設 当法人は「安心、信頼、満足」を基本理念に掲げ、患者様本位の医療の質の向上、看護ケアの充実に努めている。
また介護老人保健施設を始めとした福祉部門が充実し、活気あふれる地域の医療・福祉に貢献しており、二次医療機関として当番医、輪番医に積極的に参加するとともに、公的中核病院などの連携病院としての役割を担っている。
(2)難病患者雇用の経緯
一般求人への応募によるハローワークからの紹介で、面接の際に、本人から病名の告知を受けた。以前にも、同様の難病患者を採用した経験があり、難病自体の理解はあったが、症状等には個人差があるため、面接時には体調の確認を行いながら進めた。服薬の管理や病状の安定が図られていること、本人が自らの難病に向き合いながら仕事に就きたいとの姿勢などから、老人保健施設における介護職として採用した。
2.取組の内容と効果
(1)取組の内容
ア 募集・採用
ハローワークと連携し、難病のある方が応募してきた場合は、難病という先入観にとらわれず、本人と面接し、能力・意欲・病気の状態、体調等を把握し、採用を行なっている。
イ 難病患者の業務・職場配置と環境整備
当初、介護老人保健施設で介護職として、8時30分~17時30分の8時間、月20日間程度の日勤とし、通院が必要な場合にはあらかじめ希望を取りながら、出勤のシフトを決めた。現在は、住宅型高齢者施設への転属となり月4、5日間の夜勤もこなしている。
なお、これまでの介護老人保健施設における業務は、入浴介助による身体的負担や時間ごとに定められた業務を行うことで、精神的な負担があったのではないかと懸念していたが、比較的、自立できている利用者が多い住宅型高齢者施設への転属により、身体的・精神的な負担は軽減されていると思われる。
また、今後も、様子を見ながら、体調不良の場合は、転属ということも視野に入れた柔軟な対応と、休暇が取りやすい環境の整備に取り組んでいる。
ウ 体調の変動を把握
勤務する施設の全職員を対象に、毎日の体調管理として、発熱がないか、咳はないか、下痢はないか等の体調チェックのほか、気になる点や高齢者施設であることを踏まえ、同居家族の感染症の有無などを記載する「健康観察記録票」を提出してもらい、施設長が確認を行っている。
また、内容を確認後、気になる点があれば、即座に面談→通院等のアドバイス→診察後の状況報告の手順により的確に対応することとし、特に、対象者に関しては、迅速な対応を心掛けている。
なお、仕事のやりづらさから来る利用者への影響等に配慮し、ストレス管理等については特に心を配り、その場の問題はその場で対応するように心掛けている。
エ 迅速に相談ができる体制
体調の急変や通院等の相談に対して、いつでも、どこでも迅速に対応できるように、施設長、主任を中心とした相談窓口と病院・訪問看護以外の施設を統括している副施設長を相談窓口とする相談しやすい体制を整備した。また、常に体調不良等がないか声掛けやヒアリングを行っている。
オ 難病への理解
施設長、主任等の上司のみが承知しているところではあるが、日頃から、介護職として、また、同じ職場で働く同僚としてお互いが配慮できるための研修、環境作りに努め、理解が深まるようにしている。
カ 合理的配慮
・精神的な配慮ストレスが体調不良の一因でもあるため、身体的、精神的負担がないか、声を掛け、協力体制が取れるように配慮している。
・身体的な配慮
疲労感の有無、脱水症状等が無いよう、水分や栄養補給等についての声掛けを行うとともに、就労環境(暑さ、寒さ)等にも配慮している。
3.今後の展望と課題
今後は、体調をみながら、対象者自身が難病患者であることの経験をいかし、介護の基本でもある相手の心に寄り添いながら、介護職としてのスキルの向上や後輩の育成にも力を発揮してほしいと考えている。
現在のところ、体調の急変はないが、今後も長く勤務してもらうために体調の把握に努め、迅速に対応し、本人が体調の変化に気軽に相談できる体制を継続していくことが重要であると考えている。
執筆者:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 青森支部
高齢・障害者業務課 奥谷 春子
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