事業所外観

1.事業所の概要

当社のルーツは加賀藩主・前田家に仕えた横山家12代当主の弟で横山隆興の四男、横山登が大正10（1921）年に金沢市南町にて横山商会を創業し、電気機械器具及び材料の販売を開始したことに遡る。

その後は、株式会社日立製作所及び日立グループの特約店として昭和28（1953）年に株式会社横山商会を設立し販売業務を拡大するとともに、独自の付加価値を高めるために、開発力の強化、システム設計、メンテナンスを含めたトータル体制の整備等を行い、新技術の提案体制を強化してきた。

また、平成5（1993）年以降は、販売、生産体制を世界に拡げるために、シンガポール、香港等に海外拠点を設け、IT分野から建築分野まで多彩な領域でグローバルに事業を展開している。

2.障害者雇用の経緯と取組

【雇用に向けての一歩】

障害者の雇用については、障害者雇用促進法に基づき法定雇用率以上の障害者を雇わなければいけないことは理解しているが、どのような仕事ができるのか、どこに配置するのか、職場内への影響はどうなのかなど障害者雇用に関する知識がなく躊躇していた。しかし、平成26（2014）年1月以降、石川労働局や石川県主催のセミナーに参加する機会を得て、他社の雇用事例収集や事業所見学により障害者ができる仕事のイメージが掴め、また障害があってもできる仕事が多くあることを再認識した。そして、平成26（2014）年5月に石川障害者職業センター（以下、「職業センター」という）に相談し、雇用に向けた取組の一歩を踏み出した。

【本格的な取組スタート】

職業センターに相談したところ、職務の切り出しや社内研修の必要性について説明を受け、雇用に向けたスケジュールとしてそれらの実施を組み込んだ「活動計画進捗管理表」を作成し経営計画にも載せることとした。まず各部署へアンケート調査を行い障害者が遂行可能な業務について職務内容を洗い出すことなど、職務の切り出しや事業所内の業務分析を行った。

次に、職業センターの職業準備支援を見学し、作業イメージをより具体化することができた。その後、職業準備支援の利用者2名に職場見学に来てもらい、職場実習の実施ついて相談した。1名は通勤に時間がかかり体力的に負荷がかかることから辞退したため、結果1名について職場実習を行うこととした。

活動計画進捗管理表

【職場体験及び職場実習】

職場体験（平成27（2015）年6月）として、1日だけ練習用のシステムにより過去の伝票入力等を試しに行い、その結果内容については職業センターにフィードバックし情報共有を図り今後に繋げることとした。

その後、平成27（2015）年9月に石川県障害者職場実習制度を利用して1か月間の職場実習を行うこととした。職場実習の受入れに当たっては、職業センターのジョブコーチから助言を受けながら、本人が作成したナビゲーションブック（自分の得意不得意や障害の特性、配慮してほしいことなどをまとめた説明書）をもとに職場内へ周知する書面として「本人の特徴、気をつけること」を作成し、本人了解のもと周囲の従業員に対し障害特性などについての理解を促した。

職場実習期間中の勤務時間については、本人の希望及び雇用後の勤務形態を踏まえ2パターン（8時30分から17時までの週4日勤務と9時から16時までの週5日勤務）を設定した。

【雇入れ開始から現在まで】

職場実習終了後、仕事に対する適性や本人の就業意思などを確認するために採用面接を行い、平成27（2015）年11月より8時30分から17時の週4日勤務で期間の定めなしの正社員として雇い入れた。

業務指示については、必ず決まった人が行うことや、その指示を出す人が不在の場合は書面で不在となる時間帯を前もって本人に知らせ業務指示も併せて行うことに留意している。また、指示する人が一日不在となる場合は、前もって代理に指示をする者を含め3名で打合せをして本人の不安解消に努めている。

そのほか、職場内では気配りを含め常にコミュニケーションを取ることに努め、機会あるごとに声掛けを行っている。

また本人自身も、机上に処理待ちの書類等を入れておく「未処理箱」を設置するなど仕事の漏れ防止や効率的な仕事の進め方を工夫して仕事に取り組んでいる。遅刻・早退もなく意欲的に仕事に取り組んでおり、上司から期待されている。困ったことがあれば、周囲のサポートとともに、本人からも上司に相談したり、ジョブコーチに連絡したりして解決に努めている。

執務デスク

3　今後の展望

雇用障害者数については、昨年社内で身体障害者（重度）手帳の交付を受けた者と新規に雇用した者を合わせ現在2名となり法定障害者雇用率を上回っているが、企業の社会的責任として可能な限り継続的な雇用に向けた取組を実践していくほか、障害者が職場に定着して働ける職場風土作りやより良い職場環境の構築に向けて鋭意取り組んでいく。

執筆者：独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
石川支部　高齢・障害者業務課　徳田　弘明