事業所外観

1．事業所の概要、障害者雇用の取組

（1）事業所の概要

株式会社PLANTは、昭和57（1982）年1月の設立である。当社は、生活必需品の小売販売を行う総合ディスカウントストアーを事業とし、衣・食・住のあらゆる部門にわたり網羅的に生活必需品を取り扱うスーパーセンターを中心に、生活雑貨・小物を取り扱うジョイフルストアー及びホームセンターの3業態をもって地域密着型の営業展開を行っている。

（2）障害者雇用の取組

本部（人事部）を中心に各店舗と連携を取りながら障害者雇用率2.0％以上を目標に取り組んでいる。労働力不足の対策として「積極的な新卒採用」「積極的な中途社員採用」「積極的な社員登用」を行っており、近年は『障害者の有効的雇用』を考え、積極的に障害者雇用にも取り組んでいる。

2．難病患者雇用の取組内容と効果

（1）取組内容と効果

平成26（2014）年11月頃、鏡野店の障害者カート回収従業員の退職に伴いハローワークを通して募集を行ったところ難病の患者Aさんの応募があり、面接を行った。Aさんの病気は筋肉の硬直を主症状とするパーキンソン病であるが、起床してすぐに薬を服用すれば数時間後にはある程度動けるということもあり、試用期間を設けて採用した。

本人から午後勤務の希望があり、勤務時間は15：00～21：30（実労働時間5.5時間）とし、食事休憩1時間を入れ、体に負担が掛からないように配慮した。当初の作業内容は、お客様が使用した買物カートを回収して定位置へ戻す作業と、レジ精算後買物カゴを各レジから回収して定位置へ戻す作業とした。

しかし、前任の障害者は一人で可能な作業であったが、パーキンソン病のためか作業が追い付かず、応援を要する状況が続いた。関連する従業員へパーキンソン病のために作業スピードが遅い点を伝え、理解を求めたが、残念ながら体力的・精神的に厳しいと判断し、本人の同意の上、惣菜部門の裏方である清掃（後片付け）へ回ってもらった。

惣菜部門での配慮点は、パーキンソン病のため作業が遅い点を従業員間で情報を共有し、理解と協力をしてもらったことと、コミュニケーションがとりやすいように、夜間パート従業員（パートリーダー的な従業員）に挨拶・作業指示・作業時の配慮などを行ってもらっていることである。問題点などがあれば社員のリーダーへ報告・連絡・相談を行い、さらに食品の責任者である食品副店長へと上げ、現場での対策をスピーディーに講じるなどの仕組みを確立して継続し努力している。

また、改善策事例として、従来は作業指示を口頭のみで行っていたが、作業の漏れや間違いが発生するため、口頭に加えて書面での作業指示形式としたことが挙げられる。このことで作業指示を本人に正確に伝えることが可能になったとともに、本人も作業内容を理解した上で作業を行うことができるため、ミスが少なくなるなど仕事への自信にもつながっている。

こうした配慮の下、本人は近況について次のように語っている。「職場環境としても楽しくなってきており、同じ職場仲間のパート従業員やアルバイトの人も普通に接してくれて、仕事以外の話をするようになるなど、やり甲斐のある環境になってきた。」と感じられるとのこと。

また、以前は職場の仲間が集まっていると悪口を言われているのではないかと被害妄想を感じていたそうだが、惣菜部門の従業員から心温まる対応をしてもらい、信頼関係や仲間意識が高まり、惣菜部門の清掃（後片付け）作業に楽しく取り組んでいると報告を受けている。このように、障害者が働きやすい職場環境になるよう従業員が一丸となり努力している。

惣菜部門の調理器具・陳列器具の洗浄片付け作業を行うAさん

（2）その他の具体的対策、対応

ア

パーキンソン病が進行しているためか、時々作業が3～5分程度止まるなど、周りの従業員が心配する症状が出ることがある。現在は出社時に体調を確認し、作業中の同じメンバーが声掛けをしながらモチベーションのアップや作業スピードのコントロールをしており、勤務時間内に作業が完了できている。

イ

更衣室にて白衣への着替えに時間が掛かり、作業開始時間に間に合わない場合が発生していた。原因は、前側のジッパーの掛け合わせに時間が掛かるためであった。現在、他の従業員が白衣ジッパーの掛け合わせを手伝い、速やかに作業へ入れるように改善している。

3.今後の展望と課題

惣菜部門以外の職場では、障害者や難病患者の雇用について「他の従業員の足手まといとなり、業務を任せられない」などの偏見がまだあるため、関係する従業員に対して情報の共有化を行い、理解と協力を得て、障害者が長く勤務できるように職場環境を整備してきたいと考えている。

また、Aさんについてはパーキンソン病の進行具合に応じて、勤務時間や勤務日数の見直しを行うなど、長く勤務できるように話合いを行っていきたい。

執筆者：株式会社PLANT
管理本部　人事部　吉田　益亨