共に成長しています。
- 事業所名
- 有限会社 アップライジング(法人番号 9060002013515)
- 所在地
- 栃木県宇都宮市
- 事業内容
- 中古タイヤ・ホイールの買取・販売・修理
- 従業員数
- 50名
- うち障害者数
- 3名(施設外就労の障害者を含まない)
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 1 発達障害 高次脳機能障害 難病 1 その他の障害 - ■本事例の対象となる障害
- 視覚障害、精神障害、難病(潰瘍性大腸炎)
- 目次
-
事業所外観
1.事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
有限会社アップライジングは、平成18(2006)年に創業し、中古タイヤ・アルミホイールの買取りや、販売、修理サービスなどを営む事業所である。「出会いとご縁に感謝」をモットーにお客様、地域、世界中の人々を笑顔にしたいと、日本一明るく元気なサービスを追求し、日々活気ある会社作りを行っている。
当会社が掲げている経営理念の中に、「私たちはCSRを重視した事業活動をとおして社会の進歩・発展に貢献します」という一文がある。企業のCSR(社会的責任)には、ア経営活動のプロセスに、社会的公正性・倫理性・環境への配慮を組み込む。イ社会的商品・サービス・事業の開発。ウ企業の経営資源を活用した地域への支援活動の3パターンがある。
その中で特に、イの中で〈障害者・高齢者支援サービス〉が取り上げられており、障害者及び高齢者雇用が経営理念の基に行われている。
さらに、対地域社会活動として、地元小学校における挨拶運動や、ゴミ拾い活動も行っており地域からも評価されている。
経営規模的には、平成25(2013)年に隣接する群馬県に太田店をオープンさせ、平成27(2015)年10月には宇都宮店も移転リニューアルした。現在、アルバイトも含め総勢50名が勤務している。
(2)障害者雇用の経緯
経営者が地域社会のために何かできることはないかと考えたときに、宇都宮市に隣接する芳賀町にあるH社のS社長が、積極的な障害者雇用を展開していることを知り、当社も始めてみようと思った。
しかし、障害者を雇用したことのない企業が最初の一歩を踏み出すことは、極めて勇気のいることであり二の足を踏んでいた。
そんなときに、障害者就労支援施設の中ではなく、施設外で実務研修をする制度である、障害者の施設外就労制度を知った。この制度を利用したところ、数人の障害者に対して就労支援施設のスタッフも一緒に来て仕事をサポートしてくれたので、思ったよりもスムーズに障害者に接することができた。
加えて、施設外就労制度の利用を通じて障害者の能力の高さに気付かされたことから、勇気を出して障害者の直接雇用にチャレンジすることとなった。
経営理念の中に、全社員と当社に関わるすべての人たちを幸せにしたいという願いがあり、日々社会貢献活動にも力を入れている。障害者の施設外就労制度の利用から障害者を雇用した経緯もあり(現在も当該制度により3施設から10名が利用中)、障害がある人もない人も活き活き働ける職場づくりをめざし、県内ハローワーク専門援助部門などと連携を図りながら、障害者雇用をより積極的に進めてきている。
現在は、さらにNPO法人や就労移行支援事業所などの協力を得ながら、就職困難者と呼ばれる薬物依存者、引きこもり者、ニート、外国人留学生、児童養護施設出身者なども雇用し、共に働き共に成長できる職場づくりを心掛けている。
2. 取組の内容と効果
(1)取組の内容
- ア.募集・採用
-
社員の募集は全てハローワークを介して行っている。ハローワークからの電話での問い合わせを受けてから調整して面接を行っている。
障害者の採用についても、障害のない社員の採用と同様に採用基準を設けており、当社の経営理念や社訓を理解し、一生懸命働こうという気持ちとやる気のある者を採用することにしている。
- イ.障害者の業務・職場配置
-
基本全社的に、障害の有無などに関係なく、本人のやる気にそって職場配置を行っている。
- Sさん(視覚障害6級)の場合
視覚障害(6級)があり、右目が見えないほか、精神障害を重複している。店舗内外掃除、花への水やり、タイヤ洗浄、アルミホイール修正の下処理、プレート作成、店内への商品展示、タイヤへのワックス掛けなどを行っている。
タイヤとホイールサイズを記入するカード作成業務と店舗内の清掃業務が得意である。
カード作成
店舗内清掃
- Hさん(精神障害1級)の場合
Hさんは、PIT作業(タイヤ組込、バランス調整、取付け作業、持帰り品袋詰め)、トラックへのタイヤ・店内への商品展示などを行っている
PIT作業
- Iさん(難病:潰瘍性大腸炎)の場合
Iさんは、チラシ・ラミネート・ホームページ作成、フェイスブックページへの投稿、タイヤプリンターへのプリント作業、レジ業務、電話対応、店内ポップ、プライスカード作成などを行っている。Webやデザイン関係が得意分野であり、ホームページやフェイスブックページの更新作業を積極的に行っている。
ホームページ作成
- Sさん(視覚障害6級)の場合
- ウ.業務日誌と仕事チェックリストの導入
-
社員の業務の内容・進捗状況や精神状態の確認と点検を目的に、会社オリジナルで「業務日誌」と「仕事チェックリスト」を作成し、業務を実施する本人による確認と上司による点検を実施している。
導入前は、上司の視点からの「眼による」チェックが目的であったが、導入後は、実際に業務を行う本人が自分自身を見つめ直すためのチェックとなり、双方で「文字による確認」を共有することができるようになった。
特に、「業務日誌」は、先ず、自己評価から始まり、活動内容、それに対する成果・反省事項、次回出社時の課題(本日できなかったこと)の順に本人が記載し、締めくくりに、〈本日のありがとう〉と題して他の社員に対しての感謝及び評価までを本人が記載し、上司のコメントで閉じられるフォームになっている。
業務日誌
仕事チェックリスト
(2)取組の効果
本人のやる気に沿った配置と事業所側のニーズ(期待)とが一致したこともあり、相乗効果が現れ、3人の障害のある従業員がともに一生懸命やってくれていることで他の従業員が「自分も頑張ろう!」と思い始め、社内の士気が上がる結果に結びついている。
施設外就労支援制度による雇用を含めると、現在、13名の障害者が自然な雰囲気の中で活き活きと働いており、障害者雇用に二の足を踏んでいた頃よりも更に会社の雰囲気が好くなっていると、当時を知る従業員が評価している。
毎月恒例の従業員全員での食事会にも障害のある従業員3人が積極的に参加することで関係性が親密になり、社内全体で仕事がしやすい雰囲気になっている。
また、業務日誌と仕事チェックリストの活用により、業務の流れのみならず、従業員の状況確認も可能となり、特に、障害のある従業員の体調管理について事前に把握することが可能となり、更なる障害者雇用へのステップアップが図られることとなった。
3. 今後の展望と課題
特に障害のある従業員を配置する各部門において、障害のない従業員が、個々の障害特性を理解した上で、丁寧に教えるように成ったことから、彼らが自分一人で作業ができるようになったとき、共に喜びとやりがいを感じるようになってきている。
現在、課題として「作業の流れの中で、どうしても抜け落ちてしまう部分がある。」ということが確認されてきている。業務日誌と仕事チェックリストの活用効果が現れたことから、対策として、今後、「現場作業の内容が目で確認できる」シートを作成して機械の上に貼ることを予定しており、具体的活用に向け試行錯誤を繰り返しているところである。
これによる「見落とし」などがなくなれば、施設外就労支援も含めて、更なる障害者雇用体制が確立されていくものと思われる。
今後は障害のない従業員と同じように一般の労働力として評価できるようにするため共に成長するとともに、更なる障害者雇用の拡大へとつなげていきたいと経営者は考えている。
執筆者:有限会社アップライジング
専務取締役 齋藤 奈津美
アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてMicrosoft社提供のMicrosoft Formsを使用しております。