2016年6月1日現在

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

明治44年（1911）年に創業、日本で最初の金属洋食器製造会社として、“匙屋（しゃじや）に徹す”という経営理念に基づき、スプーン・フォーク・ナイフと言ったカトラリーの開発・製造・販売を生涯の喜びとし、お得意様の満足を御利益（ごりやく）＝利益とする教えを守っている。

（2）障害者雇用の経緯

平成23（2011）年に障害者支援施設の要請を受け、1名の雇用受け入れがきっかけとなった。

その後も支援施設「アビリテイ燕」からの支援を受け、平成24（2012）年・平成25（2013）年の各年受け入れ、現在では11名の障害者を雇用している。

洋食器製造の工程は多種、多様であるため、雇用に当たっては、現場担当者とともに障害者一人ひとりができる仕事を見極め行ってきた。障害者の雇用に当たり、障害特性について受入れ部署が対応できるか、障害者が仕事内容を理解できるかなどの不安があったが、支援施設からのアドバイスを受けながら対応して行くことができた。

2. 取組の内容（サポート体制）

（1）職場配置及び作業内容

作業内容は主に金属洋食器の最終工程となる仕上げ研磨ラインと包装作業についており、スプーン、フォークを並べ自動機で研磨、出来上がった製品の袋詰めを行っている。業種柄、危険を伴う工程が多いことから、障害者の職業適性、作業能力を考慮し危険リスクを最小限に抑えたラインでの作業に従事している。

機械操作作業の様子

機械操作作業の様子

（2）現場支援サポート体制

ア．ライン作業でのサポートについて

流れ作業に対する戸惑いや、分からないことがあれば誰にでも聞いて欲しいと言ってもなかなか聞けない、複雑な会話や状況を察することが苦手と言ったコミュニケーション能力を考慮し、ライン作業では指導者を障害のある従業員の両サイドに配置し指導できる体制を組んでいる。

イ．職場配置について

職場配置に当たっては、トライアル雇用を通じて、個々の対象者にいくつかの仕事を経験してもらうことにより、対象者の職業適性を見極め、配置場所を決めている。

製品の袋詰めのように単調な作業では、頑張り過ぎてしまう面があることから、声掛けにより、気持ちを和らげてあげるように働き掛けている。

ウ．支援機関との連携について

障害者支援施設、ハローワーク、生活支援センターとの連携をとり、障害者の職業適性を見極め、職場定着に向けたフォローアップなどの職業指導の他、障害者雇用職場リーダ養成講座などへの従業員派遣により、障害者雇用のノウハウ習得やサポート体制のスキルアップを図っている。

3. 取組の効果（メリット）と今後の課題

（1）障害者雇用のメリット

• ア．各種助成金制度が存在し、その利用が可能であることを知る。
• イ．障害のない従業員、何がしかの刺激を受け、弱者に対するいたわり、思いやりが生まれた。
• ウ．職人気質の集団が他の従業員を意識し新たなチームワークが生まれた。

（2）今後の課題

職務遂行能力などから判断する職務とのマッチングノウハウの習得とともに障害のある従業員の増加及び継続雇用のためには、ハローワーク・障害者支援施設・障害者就業・生活支援センターからの支援とさらなる連携が必要である。

執筆者：　燕物産株式会社
管理部長　橋本　弘禎