募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

面接は就労支援機関（以下「支援機関」という。）の職員が同席したが、基本的には対象者を中心に面接を行い、最後に支援機関の職員から補足事項の説明を受けた。なお、支援機関の職員の同席に関しては、事前に対象者に希望の有無を確認している。

その他の配慮

最初にハローワーク職員、支援機関の職員の同行で職場見学を行い、次に職場実習（以下「実習」という。）を2週間程度行った。実習期間中は初日、中日、最終日に支援機関の職員が実習状況の把握のために来院し、最終日は支援機関の職員同席で反省会を行い、実習期間中の評価を行った。対象者にとっても実際に職務を経験することにより、職業適性があるかどうかの判断が可能となった。実習では無理をさせないために対象者に対して「70％の力で従事して下さい」と伝え、頑張り過ぎて疲れないように配慮した。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

• 通常は現場責任者が指導や相談を担当し、交換日誌を行って、勤務中に聞けなかったことや、生活面での悩み、体調面での不安などを記入してもらい、コミュニケーションを図っている。服用している「薬」についてもこの日誌に書いてもらうようにしている。
• 採用当初は、面談と勤務終了前の反省会を毎日行っていた。面談に関しては、慣れてきたら、週1回から月1回とし、必要に応じて適宜実施するなど面談を行う間隔を少しずつ広げている。なお、障害者雇用担当部署や支援担当者が現場責任者をフォローする体制をとっている。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

1日のスケジュールを明示している。作業手順はマニュアル化しにくいため、最初は先輩の職員に手本を示してもらい、慣れるまで確認してもらう方法をとっている。対象者から、メモを取りたいという希望があった場合は、指導後にメモを取る時間を設けるなどの配慮をしている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

採用当初は、対象者の希望に応じて、短時間勤務から始め、少しずつ勤務時間を増やしていくなどの配慮をしている。勤務中、体調がすぐれなくなった場合は、休憩を取ることは可能であると事前に伝えてある。通院のために休暇を取ることを奨励している。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

食堂や喫茶店などで自由に休憩することは可能。また、一人でゆっくりしたいときは倉庫の一角に一人で休憩できるスペースを作り、許可を得た上で使用することができるように配慮している。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

業務量が多い場合は業務を減らしたり、慣れてきたら対象者と相談の上で業務量を増やすなどの配慮を行っている。決められた時間の中で、どれくらいの仕事ができたか、その成果を自分で確認してもらうことで、対象者自身が習熟度を認識し、強いては工夫するというスキルアップにつなげるようにしている。現場の責任者が業務に立会って、対象者が正しく業務ができるように、作業手順を修正する場合もある。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

• 対象者に対して障害をどこまで開示して良いかを確認した上で、同僚には必要な配慮を行うよう協力を依頼している。また、障害名を言わなくても良い場合は、障害特性のみを伝える場合もある。
• 対象者から自分で説明したいという希望がある場合には、対象者自身が説明することも可能にしている。

その他の配慮

• 1つの仕事を覚えたら、新しい仕事を段階的に習得する方針で進めている。様々な業務ができるようになることで、対象者がキャリアを積んでいけるように配慮しており、業務内容によっては部署の異動もある。
• ユニホームを職種毎に決めていることから、ユニホームを見て、対象者に対して、来院者あるいは入院患者がいろいろ尋ねてくることがある。その際に、対象者が慌ててしまうことがあるので、「自分でわかれば案内し、わからない場合は他の職員がいるところまで案内する」ように伝えている。困っている人に声をかけることは、障害の有無に関係なく、職員として必要な心構えというのが当院の方針でもあるため、できるところから少しずつ案内できるように配慮している。