募集・採用時の合理的配慮

面接時間について、体調に配慮すること

・面接に際して、体調不良の様子が見られたが、対象となる障害者(以下「対象者」という。)からは、月に1回程度の通院が必要であるとの告知のみで、難病に関する具体的な話しがなかったため、体調や面接時間に関して、特段の配慮をすることはなく通常どおりの面接対応を行った。
・対象者が、看護師免許の有資格者であったこと、また、居住地が勤務地に近接しているため通勤による疲労や就業に関する支障は少ないものと予想されたこと、さらに明るい性格であったことなどから採用決定に至った。また、勤務に際しての希望として月1回の通院の申し出があったことから、業務量の調整について、配慮することを確認した。

その他の配慮

当事業所では、従来から、障害者雇用をスムーズに行うため、スタッフ全員の温かい理解と協力が大事であるとの認識を事業所全体で共有することに努めており、配慮が行き届く環境である。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

採用当初は、地域密着型介護福祉施設に配属したが、当該介護現場での業務では疲れが出やすい状況が続いたため、体調維持に配慮し、同市内の地域包括支援センターに配置転換をした。この配置替えにより体力的な負担が大幅に軽減された。また、主任介護支援専門員を指導実務担当者とし、スタッフ全員で常時気配りできる体制とした。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

・対象者の勤務時間は、基本的には9時〜18時の通常勤務時間であるが、8時30分始業の早番になる場合もある。自宅が勤務地に近接し、マイカー通勤のため疲れることは少ない。
・病気特有の「発熱」、「胸の痛み」、「息苦しさ」などの症状が出たときは、2時間位の休憩を取ることができるように配慮している。また、月1回の通院では、主治医の診察日に合わせて、基本的に公休日を毎週水曜日または木曜日になるように勤務表に組み込んでいる。

本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること

全身性エリテマトーデスは、自らの免疫力が自分を攻撃する難病であるため、少しの疲れが体調を崩すことにつながる場合がある。対象者は、真面目な性格で頑張り過ぎるところがあるため、できるだけ業務量を調整するようにしている。当該施設の他の職員3人による適切なバックアップもあり、公休日以外に休むことはほぼなくなった。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

・当事業所は、平成10年11月に社会福祉法人を設立した時点から、「企業は社会の公器」として、障害者雇用を推進することが当然の責務として捉えており、その必要性を基本方針として堅持している。
・入社当初、対象者からは難病を抱えているとの告知はなく、月1度の通院は不可欠であるとの申出があった。その後、法人、スタッフ全員が対象者の病気を理解し共有することで、月1回の通院をサポートするための協力が得られることになった。
・当該施設のスタッフ全員は、対象者の難病の特性を十分に理解しており、お互いの仕事上の助け合いとして自然体で取り組んでいるため、無理なくバックアップを実践している。このため、対象者本人は、効率的で生産性の高い業務に精励している。

その他の配慮

対象者は、当地域包括支援センターを運営する上で必要不可欠な看護師(保健師の代替)として活躍を期待されている。対象者もその大切な使命感を持つとともに責務の重要性と就業の充実感を感じながら職務に励んでおり、当法人としても、対象者の就労継続に向けたサポートを引き続き行っていく所存である。