募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

採用面接時に、対象となる障害者（以下「対象者」という。）を支援する地域障害者職業センター（以下「職業センター」という。）のカウンセラー、ジョブコーチ（以下「JC」という。）に同席してもらい、対象者の受け答えを補足する形で、障害特性や就労上の配慮点について説明を受けた。また、副支配人が対応し、面接、作業の見学を行い、体験実習（以下「実習」という。）の実施内容を決めた。

その他の配慮

募集時、対象者は、職業センターのワークトレーニング（職業準備支援）に通所しており、映画好きであることからも同センターから推薦された。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

• 初めての障害者雇用であったことから、3名のベテランの指導担当者（男性1名、女性2名）を配置し、担当者が相互にすり合わせながら他のスタッフとの対象者の障害特性に関する情報の共有を図った。
• 3名の指導者を配置したのは、シフト勤務であるため、常に指導担当者を配置し、対象者の相談等に対応できるようにするためである。
• 毎日、実習スケジュール表（写真1）に、実習の振り返りを記入し、副支配人が翌日にコメントを返すようにした。また、同社では、独自の「体験実習ガイドライン」を作成し、実習に臨んでいる。

（資料1）実習スケジュール表

業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

上映時間や時期によってスケジュールや忙しさが全く異なる。物品の置き場やチェック項目、細かい点についてはシールを貼るなどして置き場所を明示、スタッフルームへの掲示などによりわかるようにしてある。実習後から、スケジュール表を見て動くので、実習用のスケジュール表（前掲）を作成し、意識しながら作業する。最初のうちは、必ず指導担当者と一緒に動く。単独作業への移行時期は、対象者の作業習得状況を確認しながら検討する。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

• 実習を12日間実施し、その結果が良好だったため、正式雇用となった。特に、実習中は、分からないことが質問できること、対象者のモチベーションが変わらなかったことが評価された。
• 勤務初日は、不安等への対応として、JCも同行し、従業員通用口からの出勤方法を教えてもらい、カンパニ—ポリシー研修、書類の作成、リスクマネージメントのビデオの視聴を実施。さらに、テナント社員として参加する研修にもJCに同行してもらった。
• 生活リズムの確立のための自己管理支援フォーム（会社の独自様式、写真2）及び、全社員が対象の身だしなみ・健康チェックリスト（会社の独自様式、写真3）を記入してもらっている。

【雇用契約内容】
契約期間：有期、勤務日：月、火、木、金、土曜日、勤務時間：9時〜16時（休憩45分　状況に応じて、30分と15分に分けて取る）、給料：時給制、待遇面：雇用保険加入、残業：体調管理のためになし。

（資料2）自己管理支援フォーム

（資料3）身だしなみ・健康チェックリスト

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

従業員全員に対象者の実習について周知した。指導担当者には、ナビゲーションブック（写真4）を読んでもらい、指導する上での参考にした。ナビゲーションブックは、対象者と職業センターが作成したもので、対象者のセールスポイント、苦手なこと、健康面、配慮をお願いしたいことが記載してあり、極めて有用である。対象者の後に入社した新人に対しては障害のある従業員も一緒に働いていることを伝えているが、対象者は誰かは名言していない。ただし、名札（写真5）が特徴的なこともありスタッフも気づくので、それぞれが対応している。名札にはコメント（例、「他のスタッフを呼ぶことがあります」）が付いており、事情の理解を促すことが可能となっている。

（資料4）ナビゲーションブック

（資料5）名札

その他の配慮

職業センターのJCに採用当初から支援に入ってもらった。一定期間当社を訪問し、対象者から話を聞いたり必要なアドバイスをしてもらうことで緊張の緩和を図ることができた。これにより、対象者は体調を崩すことなく、安定した就労が送れた。具体的には、職場実習期間中、後3か月間（週1回）、その後のフォローアップ（1年間、月1回）のJC支援を受け、適宜対応した。