募集・採用時の合理的配慮

募集内容について、音声等で提供すること

• 基本的には、ハローワークを通して募集しており、来社した対象者には、口頭で丁寧に仕事内容や労働条件を説明した。
• 視覚障害者の育成研修を行っている盲人ホームからの紹介の場合は、必ず責任者の同行のもとに面接を受けてもらい、対象者の緊張を和らげながら、面接を実施するように配慮した。
• 盲学校へも半年に1回程度であるが、必ず訪問して募集活動を行った。

採用試験について、点字や音声等による実施や、試験時間の延長を行うこと

• 筆記試験は行わず、仕事の内容や労働条件について口頭で丁寧に説明するとともに、対象者には、障害の内容、状態について自ら公表してもらい、対象者の人柄、性格等確認のための面接を行った。（患者様相手の仕事であるため、身なりに対する意識や、対人行動に著しい問題がないかを確認した。）
• 対象者の本業における免許取得は当然ではあるが、「免許は取得している」が実際の患者治療ができない人もいることから、長期の雇用につながらないと対象者のためにならないので「マッサージの技能レベル」や「接遇の力」などを代表者自らが受診して確認した。

その他の配慮

• 入社時の書類取交わしなどにおいては、内容を読上げ署名欄への署名を指示しているが、基本的には対象者自身では自署できないことを前提に、対象者の同意を得て、家族やヘルパーに代筆をしてもらうこととしている。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

• ドライバーが専属の相談役であり、マッサージ師のマネージャーでもある。マッサージ師とドライバーは常にペアーを組んで行動をしている。
  ドライバー研修（別添資料「運転＆運転者営業システム」参考）の折には、マッサージ師が同席して受講する。（ドライバーは、マッサージ師を「○○先生」と呼び、毎朝マッサージ師を迎えに行き、マッサージ師が9時から業務に就くことができるよう、スケジュール管理、マッサージ師の健康状態管理、施術録の作成等をこなすことで、マッサージ師が本業に専念できるよう行動するとともに、患者の管理、患者の勧誘活動も行うことも業務とされており、同席聴講しているマッサージ師に「患者に対し最善の施術をするための自覚」を促す動機付けとなっている。

ドライバー研修資料（一部抜粋）

拡大文字、音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにすること

• DVDによる研修用のモニターテレビは、画面の大きな機材を整備するなどの配慮をしたが、使用回数は少ない。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

• 当初試用期間の週3日程度の出勤から、状況を考慮しつつ週6日勤務まで増やしていく。
• 基本的に、ドライバーは、朝、必ず視覚に障害のあるマッサージ師を自宅へ迎えに行き、5時の業務終了後は自宅まで送り届けるという配慮を行っている。（道中の事故等を懸念し、大切な人材として扱いをしている。）
• 訪問マッサージであるので、患者宅へ出向くのが基本であるが、事務所を兼ねた治療院では、毎日の休憩を11時30分〜13時30分の中で取るようにしており、会社としてはこの時間帯での治療予約等は取らず、帰所した障害のあるマッサージ師に気を使わせずゆっくりさせる配慮をしている。
• 年末年始、及び夏休み（1週間）は、しっかり取得できるように業務スケジュールを調整している。

職場内の机等の配置、危険箇所を事前に確認すること

• 事務所では、全盲の二人のいすとテーブルの位置が決められている。それ以外では座る位置は自由としてあるが、固定された二人の場所を基準に「動線」があり、歩くその線上には物は置かないよう配慮している。

移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること

• 火災事故等の懸念からもガスコンロの設備はない。また、ポットも置かずウォターサーバーを配置。これによって「冷たい水とお湯」の確保が「左右のレバー」だけで動作できるようになり、視覚障害者にとっても事務所内スペースにおいて利便性は高い。
• 玄関口はバリアフリーであるとともに、マッサージ師が上履きの履き替え位置が分かるように「明暗」の色別に区分するなどの配慮を行った。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

• 月に1度第2水曜日は全体ミーティングを開いている。
• 各マッサージ師の障害特性などはパートナーでもあるドライバーが心得ているので、むしろコミュニケーションを深める目的と、諸々の注意事項などを、このミーティングの場で話をすることで「個人攻撃」や「個人の心理的負担」に繋がらないよう配慮している。

その他の配慮

訪問マッサージにおいて、ドライバーは、事業所にとって日々の業務を遂行する上で、重要な「マネージャー」であり、かつ障害のあるマッサージ師にとっては、重要な「パートナー」である。このため、この「ドライバー教育」がとても大切であり、「視覚に障害があるマッサージ師への重要な配慮」と考えている。