事業所外観

1．事業所の概要

大分総合警備管理会社（以下「当社」という。）は、平成11（1999）年4月、施設管理及び各種メンテナンス、人的警備を中心とした警備業務を主体として設立。以来18年余りにわたって、社是の「誠心・誓意」「信義・誠実」を忠実に実践し、事業活動に邁進した結果、大分県内で総合ビル管理・総合警備業務の企業としての地位を確立。総合ビル管理業務は大分市及び別府市内のビジネスホテルから設備保守管理、清掃管理等の業務を受託。総合警備業務にいたっては大分市役所、法務省等行政機関、大手建設会社、葬祭場等の施設維持管理・駐車場警備業務等を250社を超える県内外の事業所から受託。多様化・高度化するニーズや安全・安心の追求の中で、警備員の能力・技術のレベルアップを図り、業務の質的向上を期すことで顧客から高い信頼と評価を得ている。

「経営理念等」

私たちは、地域に根ざし、お客様から安心・信頼して任せていただけるよう、また、お客様のご要望に最高のサービスでお応えできるよう、日々尽力しております。

今後も皆様に愛される会社を目指し、これまで以上のサービスを提供していくことができるよう邁進してまいります。

「沿革」

「有資格者数」

2．障害者雇用の経緯

創業者である現会長の宗寛明が会社設立時に「積極的な社会貢献」を理念として掲げ、働く意欲のある人は年齢や障害に関係なく積極的に採用してきたことが、当社が65歳定年制の早期導入や毎年障害者の雇用が増加していることにつながっている。「安全・安心は人から」という社風が根付いているため、従業員の障害者に対する理解も進み、障害者、高齢者にとって働きやすい職場環境を実現している。

3．障害者雇用の取組と効果

ア.

募集・採用

ハローワークへの求人募集、ハローワーク主催の障害者合同面接会への参加により、就職希望者と直接面談して採用を決めている。精神障害者との面談の際には、障害者就業・生活支援センターのジョブ・コーチの同席により面談をフォローしてもらっている。最終的には会社側と採用される側が業務や雇用契約の内容を相互に理解・納得した上で採用している。障害に関係なく働く意欲のある人を採用するという基本的な考え方に変わりはない。

イ.

採用後の配慮

(ア)

配属先の決定、配置換え

• 通勤の負担を軽くするために、対象者の意向を踏まえてできるだけ自宅から近い勤務地に配属するようにしている。
• 採用後は対象者の希望を最優先に考え、障害特性を見極めた上で、職務内容や配属先とのマッチング等を検討して最終的に配属先を決めている。しかし、配属先を固定するのではなく、一旦配属先は決めても、実際働いてみて対象者の職業適性や意見等を取り入れ配置換えをするなど柔軟に行っている。
• 重度身体障害のある従業員、精神障害のある従業員で特に配慮を必要とする従業員については、現場のリーダーに対して、障害特性に関する情報を伝え、安全上必要な配慮がなされるようにしている。
• 現場のリーダーから各現場での課題の有無などを報告してもらい、勤務状況を確認している。現場での改善が難しい場合は最終的に配置換えを行っている。現場任せにせず、会社全体として障害のある従業員が働きやすい職場、仕事を提供することを常に考えている。

(イ)

作業環境への配慮

• 身体障害のある従業員が屋外での作業など体力を必要とする業務を行う際には、休憩時間や日陰での作業を多く取り入れるなどの配慮をしている。また、重い物の荷揚げや運搬が困難な場合、あるいは障害特性により困難な作業がある場合には、周囲の従業員が代わって作業を行うように現場の責任者が的確に指示をしている。

(ウ)

通院、勤務時間の配慮

• 通院が必要な従業員には、事前に通院の予定を把握した上で仕事の計画を立てることにより通院がしやすい環境を整えている。また、重度身体障害のある従業員には、体調面に配慮して通常よりも勤務時間を短くするなど弾力的な運用を認めている（5時間～8時間の中で従業員本人が働きやすい勤務時間を決めている）。

(エ)

会社全体でフォロー

• 障害のある従業員のプライバシーの保護と適正な人事配置を両立するため、配属先を決定する責任者（本部）は、個々の障害のある従業員の障害特性をすべて把握している。配属先の従業員には障害特性を原則として公開していないが、配慮が必要な障害のある従業員については、配属先の現場のリーダーに必要最低限の障害特性に関する情報を伝えて、安全に業務が行えるような配慮がなされるようにしている。
• 現場で体調不良等により業務の継続が難しくなるなどの課題が発生した場合は、本部の責任者に直ちに連絡が入るように連絡体制を整備した。併せて交代要員の派遣の必要性の判断も速やかに行えるように指揮命令系統も充実させた。
• 障害者職業生活相談員が2人在籍しており、障害者の採用や雇用管理を担当している。積極的に声かけを行い日頃の状況を確認するとともに、精神面でのケアや障害のある従業員が相談しやすい環境と体制を整備している。

ウ.

職場実習の受入れ

• 毎年特別支援学校（以下「支援学校」という。）から生徒の職場実習（以下「実習」という。）を受入れている。事業所の雰囲気や作業環境、仕事の様子等を実際に見て理解してもらう機会を設けている。これまで支援学校の生徒を採用した実績はないが、このような実習の場を提供することも地場企業としての社会的責任と考え、今後も支援学校と連携して積極的に実施する考えである。また、支援学校の生徒の受入れも条件等が合致すれば採用の検討も可能と考えている。

エ.

勤務風景

警備業務の様子

客室清掃業務の様子

4．今後の展望と課題

今後も働く意欲のある人は、年齢や障害に関係なく積極的に雇用する考えに変わりはないが、当社においてこれからの障害者雇用にあたっては次の課題がある。

ア.

障害者の高齢化

従業員の高齢化に伴って、雇用している障害のある従業員も年々高齢化が進んでいる。最高齢が83歳（勤続3年）に達しており、これまでは本人の職業適性等に応じた職場や職務の提供、配慮を行ってきたが、更に一歩踏み込んで様々なケースに対応できるように職務の切り出しや勤務体系の見直しなどを進めて行く必要がある。

イ.

安全・安心の実現に向けた業務の切り出し

警備業務は危険と隣り合わせの仕事であることから、障害のある従業員が安全かつ安心して仕事ができるような現場への配置や配慮を行ってきたが、従業員の高齢化、自然環境の変化（夏場の外気温の上昇による熱中症のリスク等）、多様化する顧客のニーズ等々に対応するためには新たな業務の創出が課題となってくる。

ウ.

定着率の問題

障害のある従業員本人の意見や考え方を良く聞き取り、働きやすい職場環境の整備を進めているが、不本意ながら本人の意思によって離職するケースがある。障害のある従業員が職場定着するために、離職するに至った原因を徹底的に分析し、今後の障害者雇用の底上げにつなげていきたいと考えている。また、障害のある従業員が配属先の責任者、同僚等と積極的にコミュニケーションがとれるように日頃から相談しやすい雰囲気を作ることも、障害のある従業員と障害のない従業員が共に働きやすい職場と言える。会社は人で成り立っていることを考えると、全ての従業員を大事に思うことが、顧客からの信頼を得る一番の方法と考え、これからも実践していきたい。

最後に、当社は平成29（2017）年度に独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から「障害者雇用優良事業所」の表彰を受けた。これまで障害者雇用に真摯に取り組んできたことが高く評価されたものと感謝すると同時に、障害者雇用は当社の社会的責任との認識を新たに、一層の努力を行っていく覚悟である。

執筆者：大分総合警備管理株式会社 総務部長　池尻　美保子