募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

面接に就労支援機関職員の同席依頼の打診があり、同席を認めた。対象となる障害者（以下「対象者」という。）は就労移行支援事業所からの紹介を受け、初めに就労移行支援事業所の職員同席で職場見学を行い、業務内容及び配慮事項の確認を行った。併せて、同社で働いている他の従業員の声も聞いた。2次面接では実習（2～3時間）も行ったが、対象者本人の希望で単独での面接となった。

その他の配慮

長く働き続けるため「会社」、「社員」、「第三者機関（支援機関等）」が連携・協力することが重要であると考え、就労支援機関のサポートがない障害のある社員に対しては、地域障害者職業センター等を紹介し職場定着を図っている。募集内容に「障害への配慮について」の項目を設け、「配慮が必要な場合は選考時に率直にご相談ください。入社後フォローいたします。」と明示するとともに、障害種別毎の具体的配慮事例（1部）も明記している。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

1. 就労支援機関担当者：入社3か月から6か月を目途に定着支援に向け定期面談を実施。　
2. メンター：配属グループから1名を選任し日常業務等について随時相談を受けている。
3. 定着支援担当者：入社後3か月頃から2週間に1回の定着支援面談を実施。
4. 配属先管理者：1か月に1回の健康管理面談を期限を設けず実施。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

対象者は就業に際し業務マニュアルを要望した。会社全体で業務を細分化するとともに「業務の見える化」を図り、全ての業務に「マニュアル」「チェックシート」を作成している。また、指示や進め方も文字でテキスト化しマンツーマンで分かりやすく丁寧に伝えているので対象者もスムーズに業務に対応できた。
評価制度があり、個人に合わせた目標設定（目標設定面談）－中間レビュー面談ー達成度合いや課題の振り返り（振り返り面談）ー給与改定、賞与支給（評価面談）を行うことが対象者のやりがいや向上心につながっている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

基本的勤務時間は9時から18時の8時間勤務となっている。休暇は完全週休2日（土・日）、夏季休暇、年末年始、特別休暇となっている。

1. 対象者から時短勤務の申し出があり10時から17時の6時間（週30時間）勤務とした。
2. 体調不良を訴えた場合は適宜休憩を取れる配慮を行い、改善しない場合は早退を勧めている。勤務当初は午前中に1回程度気分が優れなくなり休憩を取っていたが、現在は昼休憩だけで対応できるようになった。
3. 通院は土曜（休日）のため業務に差し支えは出ていない。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

リフレッシュスペースを利用した小休憩や医務室（事務所の一画にパーテーションを設置し他者の視線を遮るスペースにベッドを配置）にて体調不良時に安心して休める工夫をしている。

リフレッシュスペース
ちょっとした小休憩時などに利用できるスペース

医務室
急な体調不良時に誰でも利用できる医務室

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

対象者は大学卒で高いポテンシャルと向上心を持っていることから、配属先として新しく立ち上げた業務の担当とした。新たに仕事上の対人関係を作って行く上で強い緊張が起こり、体調を崩すことがあった。就労支援機関のサポートも利用しつつ、一人で業務に集中できるよう、席の配置換えや担当業務の変更を行った。
また、同社では、心身の状態を可視化することによって事業所が行うべき基本的対応を検討するツールとして、独自に「メンタルレベルマトリクス」を開発して雇用管理に活用している。職場の管理者は、対象者に対してもこれを活用して、体調や業務遂行力、コミュニケーションなどの状態について17の項目に分けて分析を行い、精神的な状態を5段階に区分することによって業務量などの調整について容易に検討することができた。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

事業所内週次定例会議で、業務運営上必要な範囲に限定し、障害特性や配慮事項を開示。

その他の配慮

和やかで落ち着いた執務エリアになるように、シンプルで落ち着いた色使いのオフィスとし、幅を広めにとった通路や打合せスペースを確保している。