募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

対象者の面接時には地域障害者職業センター(以下「職業センター」という。）のジョブコーチが同席し、対象者の障害特性や服薬等に関する情報共有を図った。

その他の配慮

対象者が初めての就労であったこともあり、3週間程のトライアル雇用制度を活用し、仕事に慣れるまでの準備期間とした。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

店長が担当者となり、仕事の指示及び相談を一つひとつ行っている。他店舗への出荷作業も最初は間違いが多かったが、今では単独で作業ができるようになっている。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

• 採用当初は本部の指示があったことから、バックヤードでの作業が主で、掃除や、整理整頓、店舗外の草ぬき、通路の整頓などの業務をしていたが、店長が対象者のまじめな働きぶりを評価し、数か月経った頃には店長の裁量で、対象者に店舗内（売場内）での作業も担当してもらうこととした。
• 作業手順は、店長が対象者に一つずつ指示を出し、手順を示しながら段階的に仕事の流れを教えていった。現在では、商品入荷時の検品作業から、バーコードの読み取りによる他の店舗への出荷作業まで単独で行えるようになっている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

• 会社は年中無休のため、基本的にはシフト勤務であるが、対象者については、通院の必要性を考慮し、通院日に合わせて、金曜日を固定の休日としている。また、対象者の希望により、金曜日、土曜日の連休取得とともに、体調の悪いときだけでなく、勤務状況を考慮し店長の裁量により、日曜日を含む3連休を取得できるようにしている。この様に、隔週で2連休と3連休を設けるなど、勤務形態については、柔軟に対応している。
• 入社から約1年の間、1日の勤務時間を5.5時間としていたが、体調（管理）が良好であったことから対象者と相談の上、今年11月からは勤務時間を1日8時間勤に変更した。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

• 休憩スペースについては、他の従業員と共通の2階に設置してあり、食事もこの共通スペースでとっている。今年の11月より勤務時間が8時間になったこともあり、疲労がたまらないようにとの配慮と対象者本人の希望から、通常1時間の休憩を30分に分けて2回取得できるようにしている。
• 店舗外での作業時などは休憩時間以外でも適宜小休憩ができるようにしており、バックヤードでの水分補給などを促している。また、店長の裁量で時間調整などの配慮を行っていることについては、他のスタッフの理解を得ている。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

対象者の体調（管理）が良好であることを踏まえ、以前は販売スタッフがしていた店舗内での備品整理やセールのときのシール貼りなども対象者の業務の一つとなっている。また、現在接客販売には携わってはいないものの、対象者自身も接客に対して次第に興味を持つようになり、最近では来客へのトイレの案内ができるようになっている。今後は対象者の得意とするパソコンを使った作業についても検討したいと考えてる。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

他のスタッフに対しては、対象者の障害特性について説明し、理解を得ている。また、体調面を考慮した柔軟な休憩の取得についても、同様に理解を得ている。

その他の配慮

• 過去にコミュニケーション不足で退職した従業員がいたという経験から、配慮不足にならないようにと、店長自らが明るく接し、他のスタッフとも全員が誰にでも話しかけやすい雰囲気作りを心がけている。これは障害の有無に関係なく、店長が常に心がけていることでもある。
• 対象者の体調面に関しては、店舗全体で配慮しているので、体調が急に悪くなるということは今までに一度もなかった。体力を必要とする仕事が続いたときなどは、店長自ら声かけを行い、急な体調の変化がないように配慮している。
• 採用当初は職業センターのジョブコーチ支援を最初は毎週、次は隔週、そして月一回というように順調に回数を減らしていった。ジョブコーチの細やかな支援もあり、安心して職場に定着していくことができた。
• 職場の上司、同僚それぞれが対象者の障害特性をよく理解すると同時に、業務への適性を見極めて対象者の能力を最大限に引き出すことができたことが、職場定着につながっているものと思われる。