面接時には保護者及び特別支援学校の進路指導担当教諭が同席し面接を行なった。

採用試験は面接のみを実施し、筆記試験等は実施しなかった。なお、在学中に職場実習を受け入れたが、実習時の様子を受入れ時の参考としている。

視覚的刺激を少なくして集中しやすい環境つくりのために机の配置を考慮し、側面に囲みを作った。孤立することがないように、またフロアの職員がみんなで「一緒に働く職場」の意識を持ってもらうために、所属課の同じ机の並びの端をAさんの席としロッカーで横を囲んだ。また、Aさんの向かいの席に障害者職業生活相談員（以下「相談員」という。）を配置し、さりげなく状況確認できるようにした。

Aさんと同じ職場で働く職員（以下「Bさん」という。）が「障害者職業生活相談員資格認定講習」を受講し相談員（兼任）としてAさんへの指導に当たることとした。また、事務職として知的障害者・精神障害者・発達障害者を採用したことがなかったので、どのように係わったらよいのか、指導の仕方もわからないような状態だったのでさらにBさんに企業内（企業在籍型）ジョブコーチの資格取得をさせるとともに、さらにそのノウハウを職場にも広めさせることでAさんに対する周囲の意識改革を図った。

Aさんの障害特性に配慮し以下の対応を行なった。
1.週次スケジュールの作成。（終業10分前にAさんが当日の作業の振返りを記入しその日のクールダウンを図る。それに上司・相談員がコメントすることで作業が難しかったか否か、本人の工夫点を確認し次へのステップと活かせる）

2.作業指示は口頭だけでなく、イラスト付き指示書を作成。

3.作業量が多すぎないか、単調すぎて飽きないように組合せに気を配る。また、作業途中で間違いがないか気を配る。

4.Aさんはパソコン作業を得意とし、一番楽しい業務としているので、作業への理解が進んできた時点で、Aさん自身でパソコンを使い自分の作業マニュアルを作らせる。

5.相談員が不在の時は事前に紙で段取り説明や作業予定表で確認できるようにしている。

（例1）週次スケジュール
一週間の予定と当日の記録

（例2）Aさんが作成した作業マニュアル

（例3）相談員が休みの時の作業指示（作業予定表）
机の横に掲示しており、貼られて
いる作業が終わると外していく　　　
　　↓
　帰るとき真っ白になっていることで達成感も得られる

1.体調管理についてうまく表現できないときは健康管理室の産業保健師にもかかわってもらい、その程度の見極めのアドバイスをいただいている。

2.月ごとの休みの確認のため、月一回家族への手紙のやり取りをしていることで、家族との連絡のしやすさを作っている。

特になし。

本人（保護者）の了解を得て、事前に障害特性と指導方法に関する学習会を地域障害者職業センター（以下「職業センター」という。）のカウンセラーを講師として事業所全職員に実施した。

Aさんの職場定着に向け、採用時から職業センターのジョブコーチ支援をうけた。また、Bさんは相談員と企業内ジョブコーチの資格を取得したほか、さらに有効な指導・教育のノウハウを学ぶため、各種セミナーへの参加をしており、現在では同事業所における障害者雇用を支える大きな役割を担っている。