本事例の事業所（以下「同社」という。）はハローワーク主催の障害者就職面接会を通じて障害者雇用を進めている。対象者も面接会で応募があり、すでに面識があったため、同社での面接は本人とのみで行った。ただし、緊張感を軽減するため、面接者も1名で行った。

面接会での面談時に同社の見学・面接日を設定し、実際にどのような仕事があるかを見たうえで、「やってみたい仕事」、「興味があった仕事」等に関する本人の希望を確認し、採用・配属の参考とした。
なお、採用と同時に地域障害者職業センター（以下「センター」という。）のジョブコーチ支援を利用した。

ベテラン社員を指導担当者として配置している。指導担当者は、OJTはもちろんのことOFF-JTの相談等についても対応できるようにしている。なお、指導担当者は、特別支援学校のインターン実習の受入れ担当を経験することにより障害者への対応を習得しており、かつ、センターのジョブコーチよりアドバイスを受けた経験のある社員が担当している。
また、指導担当者で解決できない問題等が発生した場合は、障害者職業生活相談員（以下「相談員」という。）を兼ねる副支店長へ報告する仕組みを構築している。

特別な業務マニュアル等は作成していない。ただし、指導担当者がマンツーマンで作業手順を丁寧かつ分かりやすく指導している。なお、ライン作業についていけない場合は、オフライン機にて、自分のペースで作業ができるよう環境を設定し、作業手順等を一つ一つ習得できるよう配慮している。
また、障害者には「苦手な業務はさせない」という方針であり、本人から「この作業はできない」等との申し出があれば、配置替えも行える体制をとっている。

飲料ビン選別ラインの写真
（ビンの不良品等を選別する）

入社直後は相当の不安をもっていたため、プレッシャーを軽減させるべく短時間勤務（6h/日・週3日）からスタートした。その後、仕事・職場に慣れ、プレッシャーが払拭されるにつれ、本人から「もっとできる」と申し出があり、事業所としても可能と判断し、徐々に勤務時間を延長し、現在はフルタイム勤務となっている（当初の6h/日・週3日を、次に7h/日・週4日とし、現在は8h/日・週5日のフルタイム）。
通院は、1回/月の定期受診をしており、申し出があれば必ず受診させることとし、業務が繁忙であっても休暇を認めている。

休憩場所には、畳敷きで横になれる場所を準備しており、休憩時間も昼休憩以外に午前2回、午後2回（各20分程度）を設定している。

本人の申し出により勤務もフルタイム勤務となり、仕事に慣れ、習熟して業務に取り組んでいる。

ジョブコーチのアドバイスのもと、勤務開始時に配属予定の勤務者へ障害や配慮事項の説明を行っている。

慰労会として社内バーベキューパーティー等を実施しており、障害の有無に関係なく全社員に参加を呼び掛けている、対象者の場合はソフトな呼び掛けとし、参加・不参加は意向を尊重している。