採用面接時に地域障害者職業センター（以下「センター」という。）職員の同席を得て、障害特性や配慮事項等について説明を受けた。

採用前に職場実習を行い、採用及び採用後の配慮の参考とした。

1．作業部門及び総務部門にそれぞれ担当者を定めた。また、企業全体では障害者雇用の実績はあるが、当事業所では障害者雇用が初めてであることもあり、職場実習からセンターのジョブコーチ支援を活用し、ジョブコーチからの助言を受けながら対象者への作業指導・支援を行った（ジョブコーチ支援の利用期間はフォローアップも含め12か月間）。

2．入社後慣れるまでは担当者と対象者との定期相談の場を設けた（月1回の頻度で1年ほど続けたが、その後は必要に応じて行うこととした）。

1．作業指導においては、まず担当者が作業上の留意点を伝えながらモデリング、また作業によっては見本を一つ作成し、対象者に提示したあと作業を遂行できるようにした。

2．人当たりの良いパートを配置し、作業の合間に声掛けを行った。

3．周囲が気になる場合は食堂等の人がいない場所に移動し作業に集中できるように配慮した。

勤務時間は9時から15時、曜日固定の週4日勤務である。1時間の昼休憩のほか午前と午後に時間を決めての小休憩と、体調により水分補給も含め小休憩を適宜取ることができるようにした。

人目があると緊張するタイプで、食堂の利用は「話しかけられるかもしれない」ということの負担感が大きく、昼食は事務所で摂れるよう配慮。また、食事の後は倉庫や資料庫等、本人の落ち着く場所に椅子を用意した。

1．倉庫内作業は複数名での流れ作業が原則だが、作業に集中できるよう、空きスペースで一人で作業できるようにした。

2．業務量や目標数は定めず、本人のペースで作業を進めている。終わらない場合は社員がフォロー。コンスタントに働けるよう力配分に気を配っている。

3．外見からは体調の悪さが分かりにくい方であるが、3年目となり、表情や歩き方で変化が分かるようになり、その時は声をかけている。体調が悪い時は一旦定型業務から外し、別な作業を行ってもらい、体調回復ができたら元の業務に戻している。

4．今後は適応状況を確認しながら、作業の幅を広げていく予定。

対象者の同意を得たうえで、採用前に社内の説明会を開催し、障害特性や配慮事項を説明するとともに、対処法(不調と思われるときには声掛けをしてもらう等）についても周知した。

事業所のモットーは「楽しく仕事をする」ことである。
社長以下全社員の障害者に対する理解が進み、本人の仕事がやりやすくなるのであれば、適宜環境調整している。また、本人が孤立を感じないように留意しながら、社員の目の届くところでなおかつ人目を気にせず働ける作業環境等を設定している。さらに、ジョブコーチに職場実習から支援に入ってもらうことにより、対象者から話を聞いたり必要な助言を受けることで安定した就労生活が送れている。