面接時に障害者就業・生活支援センター（以下「センター」という。）の職員の同席を得て、対象者が話しやすいように支援を得た。また、会社からは人事担当だけでなく、実際に働く場所の部署長も同席し、具体的な業務内容や現場での説明を行い、対象者が仕事内容を具体的に理解するための配慮をした。

雇用する障害者の多くは、採用前に、センターのマッチングによる職場実習を活用している。本事例の3人も職場実習を活用したのち、トライアル雇用を経て採用されている。

1．それぞれの対象者が働く部署ごとに指導担当者を決め、その部署長を指導担当者の相談役とした。また、それを人事担当者がサポートする体制とした。
2．Aさんは、定位置で自分のペースで作業できるバリ処理の業務を選定し、指導担当者を近くに配置して質問しやすく、また話しかけやすい環境を作った。
3．Bさんは、できばえなどの基準を理解することが苦手なため、基準を理解できるまで、指導担当者が時間をかけて何回も説明した。
4．Cさんは、特に午前中に眠くなるということから、初めは午後3時間、週3日勤務として、その後、週5日とし、一日の勤務時間も徐々に長くし、現在は週5日間で一日5時間（11～17時）勤務となっている。

具体的な本人の能力・特性を踏まえた業務指示の方法、マニュアルの作成・活用、業務の進捗状況のフィードバックと目標の共有などを、マンツーマンによる指導や、手本や見本を示しながら指導することで、本人にわかりやすく業務内容を教えている。併せて危険なことや安全な作業手順を十分説明している。

当初は短時間勤務を認め、徐々に勤務時間を延ばしていくようにしている。
特に、Cさんは眠くなる病気であるため、本人の体調を確認しながら、段階的に勤務時間を長くした。
通院が必要な者については、通院を考慮して、休みを取得してもらうようにした。

休憩所や食堂は、特別なことをしていないが、通常の従業員と同様に、作業現場にある休憩所や食堂を利用してもらっている。本人たちも一緒に食堂を使うことを、特に負担に感じているようなこともなく、他の社員も同様であり、一緒にいることが違和感はない状況となっている。

体調については各人に気を配っているが、特にCさんは眠くなる病気を考えて、業務時間の設定に気を配った。
覚えることが苦手のBさんについては、仕上がりを自分では判断できず、迷ったものは別管理にしておいて、業務を一通り終わったところで、指導者と一緒に、どこを迷ったか、なぜかを繰り返し、確実に覚えてもらうための指導を繰り返した。

最初の面接から同席している部署長から、指導担当者に対し、説明を行った。
部署長も含め、障害に対して詳しい知識があるわけではないが、対象者の特徴を、実習を進めながら捉えるようにして、その際に把握したことを指導担当者等に周知するような流れとなっている。

最初はセンターの職員が定期的に来て、本人にアドバイスをしてもらったが、徐々に間隔をあけて、その頻度を少なくし、その分、同社の従業員が対象者とコミュニケーションをとるようにした。