採用面接時に、対象となる障害者(以下「対象者」という)が利用していた就労移行支援事業所（以下「支援事業所」という。）の職員が同席し、障害状況、悪化の兆候および頻度、障害への配慮点について、補足説明を受けた。

応募の前に、対象者が支援事業所職員と同社の見学を行う。面接後には、2週間の職場実習を行い、仕事や現場の環境と対象者のマッチングを判断したうえで採用を決定した。

キーパーソンとなる現場リーダーを選任して、指導者や相談役として対応し、常に困りごとなど聞ける環境にした。また、障害者職業生活相談員（以下「相談員」という。）による巡回の際の声掛けを行うこととし、必要に応じて、対象者と現場リーダー、相談員の3者による面談で、相談できる機会を設けた。

作業指示においては、まず現場リーダーがやって見せて理解を促した。また、作業手順のマニュアルを作成し、分らない時に確認できるようにした。不良品の判断がしやすいよう、チェックリストも作成した。そして、先の見通しがつかない事で不安とならないよう、作業予定は、常に現場リーダーから伝えるようにしている。

疲れやストレスが溜まると体調不良が起きやすいため、主治医の診断と、支援事業所職員からのアドバイスで、採用時の勤務時間は4.5時間とした。その後の勤務状況、主治医の診断や対象者の希望から、採用1年後に勤務時間を1時間延長し、5.5時間とした。出勤時間は、時差出勤で混雑を避けるように配慮し、他の従業員より30分遅らせている。通院や体調不良による遅刻、早退、休みは、事前に職場リーダーに報告することで許可している。

休憩は、作業机のパーテーションで仕切られた静かな環境で、対象者が決めたルーティン（食事、仮眠、ストレッチ、歯磨きなど）で過ごすことを認めている。

最初は、納期に余裕のある商品で、ノルマは課さず、プレッシャーが無いよう、焦らず確実に作業を身に着けさせる。慣れてきたら徐々にスピードアップして行き、長く続けられることを目標に指導する。

対象者の配属の前に、配属先の従業員を対象に、支援事業所職員から、障害状況、配慮するべき点などについて説明を聞く、事前説明会を開催した。

周囲から影響を受けやすいため、電話や従業員同士の会話が少ない静かな環境へ配置した。また、障害のある従業員同士で作業スピードなど比較し合って影響が出ないよう、パーテーションで仕切り、落ち着いて作業できる環境にした。