ハローワーク主催の合同面接会で同社を希望し、その場で初回面接を行い、その後に同社で、就労支援機関の支援員も同席して面接を行った（対象者は同機関の利用者）。

・面接終了後に、職場実習を2週間実施した。実習に先立ち対象者が対応可能と思われる業務をいくつかリストアップし、一週間ごとに別の部署で実習した。その際の仕事ぶりと本人の希望を踏まえ、採用と現在の部署への配置を決定した。
・配置先については、対象者が落ち着いて仕事ができるように、対象者をフォローできるベテランの従業員が多いと思われる部署を候補とした。

入社後しばらくは、支援員の訪問支援が毎日あり、次第に回数を減らしていき、現在は月に1回か2か月に1回程度の支援を受けている。
業務の指導は同じ担当業務に従事している先輩を2名配置している。
人事部と支援員と担当者2名で対象障害者への指示の出し方や注意点を確認しあって情報を共有している。
最初に業務の指示を出してから仕事を覚えるまでは飲み込みが早く、ミスも少なく、次第に処理するスピードも速くなってきている。

対象者は、事務センターにおいて、振込業務（確認作業）を担当している。
これは主に伝票等の数字、銀行名、口座番号等に間違いがないかをチェックする業務であり、その処理数が膨大である。
最初は戸惑いもあったようだが、担当者2名から、伝票等を見ながら繰り返し教えることで、吸収も早く、次第に作業に慣れ、スピードも上がっている。
また、振込用のデータが間違っている場合、電話を掛けて確認をする必要があるが、対象者は電話が苦手であるため、支援員に相談したうえで、配慮をするようにしている。

出勤・退勤・休憩時間については、他の従業員と同じ体制で勤務している。月に一回病院に通っているが、休日を利用して通院しているため、会社を休むことはない。
また、疲れたときは、別室で休憩を取らせるようにしている。

障害の内容については、事務センター内の全ての人が知っているわけではなく、現場の長や担当者などの一部の者だけに周知している。他のフロアには知らない人もいるし、本人も特に意識していない。

業務の中で困ったことがあっても、本人から担当者に直接言えない時には、支援員に相談をして、支援員からその内容を伝えるようにしてもらっている。
そうした情報は、担当者にも共有するようにしている。
対象者の「仕事に対しては手を抜かずに一生懸命にやっている」姿勢を他の従業員も見て、その仕事ぶりを認めて理解している。そのため仕事の内容で対象者の負担になっていることがあると誰かが気付いたら、仕事の量を少し減らしたりして解決するようにしている。
日々是正しながら、よりよい職場環境がつくれるようにしている。