対象者は、合同面接会での面談をきっかけにして採用した。面談後に、職場見学、インターンシップ、トライアル雇用を経て本採用となったが、節目で対象者との面接を行っている。その際には対象者が利用している就労支援施設（就労移行支援事業所で、以下「支援施設」という。）の担当者が同席している。トライアル雇用後の面接では担当者3名が同席し、採用後にも担当者が定期的にフォロー（職場訪問等）することが説明された。

本採用に当たっては面接のみを実施。
面接時はトライアル雇用等の振り返りと、仕事への意欲を確認した。

職場環境や仕事への負荷を考慮し、勤務時間を段階的に増やした。インターンシップ（2週間）では1週目8：30～11：30、2週目8：30～15：30、トライアル雇用（3か月）では1か月目8：30～15：30、2か月目以降8：30～17：30、とすることで、対象者に合った勤務時間を設定できたと思われる。

日常的な相談は人事総務の担当者が、担当業務の指示や教育は担当グループのリーダーが行っている。

全社的に作成・使用している作業の安全と品質確保のための標準作業票を活用し、作業内容を指示した。
一般的に使用している作業票であるが、内容や手順について対象者は問題なく理解できている。
業務に従事する際は対象者が確実に作業ができるようになるまで現任訓練（OJT）を行い、リーダーが現場に立ち会う。
今後は本人の力にあった目標を設定し、より高度なスキルを習熟していくことで、多能工化を目指す。

・基本の就業形態は交代制（①8：30～17：30　②7:00～16:00　③16:00～1:00　④22：00～7：30）だが、対象者は8：30～17：30勤務のみとしている。
ただし、同社は障害の有無に関係なく社員が単一時間を選択できるため、対象者への特別な配慮とは異なる。
・月1回の通院については、採用時に了解している。
休憩は同僚とのコミュニケーションを図ってほしいことから、通常の休憩場所を利用するように勧めている。

インターンシップやトライアル雇用を開始するにあたり、担当グループの社員を集めて発達障害についての集合教育を行うと共に、会社の方針等を説明し、障害者雇用への理解を深めた。
トライアル雇用を通して社員の障害者雇用への理解も深まる効果もあったようである。

支援施設の担当者が採用後3か月間は月1回、それ以後も半年に1回同社を訪問し、対象者との面談を行っており、同社との情報共有と連携をとっている。
また、対象者は支援施設が開催する行事にも参加し、安定した就労の一助となっている。